◆米大リーグ ヤンキース1―4カブス(13日、米ニューヨーク州ニューヨーク=ヤンキースタジアム)

 カブス・今永昇太投手(31)が13日(日本時間14日)、敵地・ヤンキース戦に先発し、7回2安打1失点の圧巻の投球を披露して6勝目(3敗)を挙げた。スタントンに許した4号ソロによる1点のみに抑えるハイクオリティースタート(7回以上自責2以下)で、初対決のジャッジに対しては3度の対戦で2三振を奪った。

 「3番・右翼」でスタメン出場した鈴木誠也外野手は逆方向への右越え二塁打など5打数2安打0打点で打率を2割6分3厘としてキャリアハイの25本塁打77打点で前半戦を終えた。

 今永が前半戦最終戦で圧巻の“ジャッジ斬り”を披露した。最強打者との初対戦。初回2死で迎えた最初の勝負ではスライダー2球で追い込むと、3球目は83・5マイル(約134・4キロ)のスプリットでタイミングを外して空振りで3球三振。ジャッジは悔しさをにじませた。

 4回に迎えた2度目の対決では、今永が3球で早々に追い込むと、ジャッジコールが起きる中、カウント1―2から最後は低めギリギリの83・7マイル(約134・7キロ)のスプリットで見逃し三振に斬った。7回1死での第3打席も決め球はまたもスプリット。カウント2―2から内角低め83・7マイル(約134・7キロ)のスプリットで遊ゴロに打ち取った。

 昨季はヤンキース戦での登板はなく、メジャー2年目左腕はジャッジと初対戦だった。球界を代表する打者との対戦について「欲を出さないってことですね」と今永。「もしかしたら打ち取れるかもしれないとか、こういうスイングしてくれたらうれしいなとか、そういう欲をまず持たないということ。自分がやるべきメカニズムだったり、投げるべきロケーションにボールをしっかり投げて、あとはもう打つか打たないか。

というレベルの選手だと僕は思ってるんで。抑えようとしないというか、その気持ちを前面に出しすぎないってことが、僕の中では脱力につながるんで、そういうイメージで投げられました。失投という失投はなかったと思う」と明かした。打席ごとに組み立てを変え、ピッチクロックの範囲内で投球のタイミングをずらす細かな工夫もこらした。「ボール単体で勝負できる投手であればあまり関係ないことだと思うんですけど、僕の場合はボール単体では勝負できないなとは思っている。それはしっかりまず認めて、じゃあどうすればこういう人たちに立ち向かえるのかと考えた時に、やっぱりいろんな手を使うっていうとこができたかなと思います」

 失点した2回以外は打者3人で退けた。「勝負は紙一重なので。トントントンとイニングが進んだようには見えるけども、でも気の抜ける場面はひとつもなかったなと思う」。今年は球宴に出場しないため、短い休養を挟んで後半戦に備える。「正直、勝敗はあまり自分の中では気にはしていない。できればもう少しクオリティースタートを増やしたいなと思いますし、クオリティースタートできなかったとしても、やはり6回を投げ切ったり、7回を投げ切ったりっていうような投球ができればよかったなと思いますけど、後半戦はしっかりとそういう投球ができればいいと思います」と前を向いていた。

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