◆第107回全国高校野球選手権東東京大会 ▽3回戦 広尾7―4目黒日大(14日・ジャイアンツタウンスタジアム)

 広尾が目黒日大を7―4で下し、4回戦へ進出した。

 広尾の先発はプロ注目の最速145キロ右腕・古荘敦士(3年)。

初回に味方が2点を先制しながら、直後の守備で制球に苦しみ1点を献上。2回以降は力強いストレートと打者の手元で曲がる縦のスライダーなど、5球種を駆使して相手打線を手玉に取った。

 5点リードで迎えた6回は、2点を失い、なおも2死満塁の場面で「直前の攻撃で(4)点を取ってくれて、絶対負けられない」と強い気持ちで打者に向かうと、空振り三振でピンチを脱した。

 バックネット裏ではNPBのスカウトも視察する中、7回8安打3失点。147球の熱投に加えてバットでも2打点をあげ、投打で勝利に貢献した。

 地道な努力を続けて、今がある。入学当初、76キロだった体重は15キロ増えて91キロに。家では2日でお米8合を食べ、回転寿司は50皿を平らげるという。体の成長はプレーにも表れた。「2年の初めに「安部(雄太)監督から『ショートアームにしてみたらどうだ』と言われ、続けてみたら球速もすごく上がりました」。体重の増加と技術の向上が実を結び、入学時115キロだった球速は145キロと急成長。プロも注目する投手となった。

 エースは、プレー以外でもチームを引っ張る。「野球をする上で気持ちを出していく事が1番大事だと思う。チームが一丸となって勝利できると思うため(意識的に)感情を出している」。その言葉通り、ピンチを乗り切った時やヒットで出塁したときには、大きな声を出して仲間をもり立てていた。母・朋子さんは「みんなが盛り上がるように楽しくプレーしている。そういった所も変わりました」と子どもの成長を喜んだ。

 “打倒私学”を掲げる広尾。この日も私学の目黒日大を破り4年ぶりの4回戦へ駒を進めた。次戦は17日に私立の強豪・修徳との一戦。「私学を倒してベスト4を目指している。敗れていった都立の分まで頑張りたい」。3年間で心身共に成長したエースが私学を倒し、都立の星を目指す。

(高澤 孝介)

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