◆第107回全国高校野球選手権東東京大会 ▽3回戦 日大一10―7青山(14日・神宮)
日大一が2-7と5点ビハインドで迎えた9回、一挙8得点で逆転勝ち。劇的に4回戦に進出した。
誰もあきらめていなかった。日大一ナインは5点差にも心折れることなく、必死に立ち向かった。9回に8得点でのミラクル劇。それでも渡辺尚樹監督(40)は冷静に振り返った。
「最後は本当によく頑張りました。かなり劣勢でしたが、スイッチが入ったときの集中力はすごいなと思います。劣勢でも、どんどん集中力が上がっていきました」。今夏は順天との初戦でも1-8から最後は12-8の逆転勝ち。「練習試合は負けっ放しでしたが、1イニングでひっくり返すのは、何か持っていると思います」とナインの奮闘をたたえた。
今夏のテーマは「勝ち上がる」。試合前には選手たちに「一戦必勝ではなく、上がっていくんだ」と伝えた。一塁側スタンドの熱烈な応援も後押し。
渡辺監督は日大野球部時代、巨人の長野久義外野手とチームメート。ベンチ外のサポート役だったが、青春の聖地・神宮で指揮官として奇跡を起こした。勢いは本物だ。春夏甲子園10度出場の古豪が、波に乗ってきた。(加藤 弘士)