◆第107回全国高校野球選手権京都大会▽3回戦 北稜10×ー日吉ケ丘9(14日・あやべ・日東精工スタジアム)

 勝利をかみしめながら校歌を歌う北稜ナインは、笑顔や泣き顔とさまざまな表情だった。劇的なサヨナラ勝ち。

9回に同点の右前適時打を放った奈須涼太中堅手(2年)は「まだ勝った実感が湧いていない」と言いながら、目を赤く腫らして感動でいっぱいだった。

 シーソーゲームに決着をつけたのは、2点を追う9回の攻撃。渡辺瑞稀二塁手(3年)が中越え安打で出塁し、二塁打と四球で無死満塁の状況ができあがった。

 内田逢公三塁手(2年)が左翼方向へ適時打を放って1点を返し、奈須に打順が回る。「キャプテンが伝令に来てくれて『奈須が打てなくても中西監督のせいだから』と伝えてくれました」。ベンチから届いたプレッシャーを解く言葉に背中を押された。「絶対、監督のせいにしたくなかった。自分で打ってやるって気持ちになった」という奈須は、しっかりと打球をはじき返し、同点に追いついた。

 逆転のチャンスで打席に入ったのは西村啓捕手(2年)。6回には自身の失策で追加点を与えており、この1打席に懸けていた。放った打球は中堅手の頭上を越え、逆転のランナーが生還。仲間にもみくちゃにされながら、安どの涙がこぼれた。

「3年生たちにありがとうって言ってもらえた。少しは恩返しできたかな」と誇らしげだった。

 逆転劇を見せた9回は打席に入った6人中4人が2年生。中西俊介監督は「今年のチームは2、3年生がすごく団結している。3年生が2年生をリスペクトして、逆に2年生は3年生をお兄ちゃんみたいに大事にしている」と部の雰囲気の良さを実感していた。チームの勝利へまとまったからこその逆転サヨナラ勝利。次戦の北嵯峨にも、全員でぶつかっていく。

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