ミスターゆかりの地で勝つ!勝つ!勝つ! 巨人の丸佳浩外野手(36)が14日、静岡・草薙球場で開催される15日・ヤクルト戦での必勝を誓った。舞台は、長嶋茂雄さん(享年89)が1974年の日米野球で現役最終試合をプレーした場所だ。

この試合に敗れ、同日に阪神が中日に勝利すれば自力Vの可能性が消滅する崖っ縁。打ち勝つための打開策として、不動の1番打者は“二の矢”の重要性を強調した。この日、ナインは静岡入りした。

 負けるわけにはいかない。丸はG戦士に宿る不滅の魂を胸に、静岡へ降り立った。「しっかり準備して。勝てるように頑張ります」。15日に巨人が敗れて阪神が勝てば、自力Vが消滅する崖っ縁。前回、静岡で行われた23年5月16日のヤクルト戦は4安打1打点と猛打を振るった。2年前と同様、その打棒で不屈の姿を示す。

 ミスターゆかりの地が、逆襲の出発点となる。長嶋さんは引退試合の約1か月後、草薙球場で行われた1974年11月20日の日米野球・メッツ戦に「4番・三塁」で出場。

4打数2安打1打点と活躍し、これが選手としての最後のプレーとなった。広島からFA宣言した18年にミスターから直筆の手紙をもらい、不振だった21年にはG球場で約1時間の熱血指導を受けた背番号8。「すごい方たちの中でも特別な存在」と感謝はつきない恩人に、静岡での白星を届ける。

 不動の切り込み隊長として、打線の光明を感じている。チームは7月の11試合で1試合平均1・9得点にとどまるも12、13日のDeNA戦(横浜)では2回までに3点を先制。課題だった主導権を握った。「打線のなかで少しずつそういうつながりっていうのが出てきている」とうなずきつつ「今まで点が取れてなかった分、複数点を取れた時にどこかで気の緩みのようなものがあったのかもしれない。点を取った後、次の1点への意識をもう一回、やっていかなきゃいけない」と気を引き締めた。

 レギュラー格となった泉口と増田陸に加えて7月に佐々木、荒巻らが台頭。「彼らは彼らで必死だと思う。一番大事なのは、その中でチームとして意識を共有すること」とベテラン、若手が一丸となって苦境を打開していく。

 18年目の今季は35試合出場で打率2割5分8厘、1本塁打、11打点。

「もっと貢献しないと」と本来の数字ではないが、3試合連続安打中と状態を上げている。前回のDeNA3連戦ではビジターにもかかわらず、試合開始の6時間以上前の午前11時台に球場入り。トレーナー室で施術を受け、万全を期している。

 長嶋さんは96年に監督として最大11・5ゲーム差をひっくり返す「メークドラマ」で優勝を成し遂げた。首位の阪神を9・5差で追う今年も、チャンスはまだ残されている。「難しいことは考えずに前を向いてやっていきたい」。静岡での恩返しの白星を、快進撃の序章にする。(内田 拓希)

 ◆長嶋さんと草薙球場 1974年、引退試合を含めた公式戦全日程終了後、米大リーグ・メッツが巨人や全日本、連合チームとの日米野球のため来日。相手選手には、後にヤンキース監督として名将になるジョー・トーレ内野手もいた。長嶋茂雄は札幌から福岡までの全18試合に帯同。11月20日、静岡・草薙球場での最終戦は、巨人の「4番・三塁」で出場して左前適時打を放つなど4打数2安打1打点で勝利に貢献した。これが現役最終戦となった。

「バットマンとしてのすべてが終わった」と振り返ったメッツとの同シリーズは通算27打数12安打、打率4割4分4厘だった。

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