◆第107回全国高校野球選手権島根大会▽3回戦 大社3X―2浜田=延長10回タイブレーク=(16日・江津市民球場)

 大社が執念で上回った。2―2の延長10回無死二、三塁で、打席には主将の安井貫太二塁手(3年)。

7回1死二、三塁の3打席目にスクイズを2度失敗していたが、迷いはなかった。「あそこまでいったら気持ち。自分たちの方が強かった」。一塁線へ転がして三塁走者がサヨナラのホームを踏むと、ナインが一斉にベンチから飛び出した。

 連覇に向けて立ちはだかったのは、浜田の最速150キロ右腕・山田玲(3年)。石飛文太監督(43)は「島根に、今まで150キロを投げた人はいないんですよ。史上最速。打てないです」と、タイブレークも想定済みだった。昨秋は初戦(2回戦)で敗退したものの、以降はタイブレークや1死満塁などのシチュエーションで実戦練習を徹底。バント練習は選手から監督に要望し、勝負どころで見事に体現した。

 昨夏の甲子園は、エース左腕・馬庭優太(現東洋大)を中心に、史上最長ブランクの93年ぶり8強で聖地を席巻した。早実(西東京)との3回戦は、9回にスクイズで追いつき、延長11回にサヨナラ勝ち。

その執念は、現チームにも受け継がれている。「あれだけの方の心を動かした、それを一番持っている。大きな財産をいただいた」と指揮官。再び旋風を―。その火種が、ともった。(瀬川 楓花)

 ◆大社の24年夏の甲子園VTR 1回戦で今朝丸裕喜投手(現阪神)を擁したV候補の報徳学園(兵庫)を3―1で破ると、2回戦は延長10回タイブレークで創成館(長崎)に競り勝ち、ロシア革命が起きた1917年以来、107年ぶりの夏2勝を挙げた。3回戦は、9回に内野5人シフトでピンチをしのいだ早実に、延長11回タイブレークでサヨナラ勝ち。準々決勝は神村学園(鹿児島)に2―8に敗れた。

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