◆第107回全国高校野球選手権 和歌山大会 ▽2回戦 智弁和歌山10―0有田中央・貴志川・和歌山南陵連合チーム=5回コールド=(16日、紀三井寺球場)

 センバツ準優勝の智弁和歌山は投打がかみ合い、連合チームに大勝発進した。二刀流1年生・井本陽太(ひなた)が「3番・左翼」で先発出場し、1安打1打点2得点と貢献。

エース・渡辺颯人(3年)も4回1安打7奪三振無失点と快投した。

 期待の1年生が初めての夏も躍動した。智弁和歌山・井本は初回2死、チーム初安打の左前打で出塁。打線もつながり、先制のホームを踏んだ。3回無死二、三塁では遊撃手強襲の打球で失策を誘い、この日初打点をマーク。16歳は「ずっと緊張していたけど、1打席目で打ててよかった」と安どした。4回で交代したが、中谷仁監督(46)は「初回のヒットは彼の思い切りの良さが出ていた。勝負強さを買っている。いい活躍をしてくれた」と評価した。

 二刀流で結果を残している。入学後すぐ、今春の県大会から野手としてベンチ入り。6月の近畿大会・滋賀学園戦では先発登板し、4回無失点と好投。

鮮烈なデビューを果たした左腕だが、「投手は緊張するから野手の方がいい」と、あどけない笑顔も見せる。今月、二刀流でドラフト候補にもなったOBの米ハワイ大・武元一輝投手(21)がMLBドラフトでアスレチックスから19巡目で指名されたばかり。先輩のようなスケールの大きい選手になるべく、まい進中だ。

 下級生の奮闘に3年生も応えた。先発右腕・渡辺は初回の3者連続を含む7三振を奪い、4回無失点。2番手の田中息吹も1回無失点と零封リレーで、今春センバツ準優勝の実力を見せつけた。投手陣は最速152キロ右腕の宮口龍斗(ともに3年)らも控えるなど層は厚いが、指揮官は「井本も投手で出番があれば使う」と投打で期待を寄せた。

 井本は「任されたところでしっかり仕事をしたい。活躍したい」と気合十分。頂点を狙う名門の貴重なピースとなる。(森脇 瑠香)

 ◆井本 陽太(いもと・ひなた)2009年7月12日、和歌山市生まれ。16歳。

宮小1年から宮セネタース少年野球クラブで軟式野球を始め、投手。6年時はタイガースジュニアで投手と外野手。日進中では橿原磯城リトルシニア所属。智弁和歌山では1年春からベンチ入り。最速132キロ、変化球はカーブ、チェンジアップ。遠投90メートル。183センチ、80キロ。左投左打。

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