◆第107回全国高校野球選手権栃木大会 ▽2回戦 佐野日大5―0栃木商(17日・宇都宮清原)

 秋・春の県大会を制している佐野日大が栃木商に快勝で3回戦進出。プロ注目野手の井上遥翔(3年)が1番・三塁手として出場した。

 0―0で迎えた5回。1死二塁で打席が回ると、痛烈なライナーで左前安打を放ち、左翼手のエラーが重なり先制に成功。そのまま勢いに乗った打線が、打者一巡の猛攻で一挙5点をあげ、そのまま逃げきった。

 井上は6回にも右翼手の頭上を越える二塁打。8回には右前安打を放つなど計4安打。持ち前のミート力でチームを引っ張った。それでも「初回の先頭で出塁できなかった。チームが勢いに乗れなかったので、初回から自分の打撃ができるようにしていきたい」と1度の凡打を悔やんだ。

 そんな井上のミート力は親子で作り上げたものだった。幼少期から父・美則さんとシャトルの連続打ちをしてきた。70回の3セットを毎日のように行い、「きついんですけど、そのおかげでここまでこれていると思います」と感謝した。

 打撃だけではない。

陸上で実業団チームまで駆け上がった父から、けがをしない体作りや走り方、瞬発系のトレーニングなども教わった。高校に入り寮生活となったが、実家に帰省した際には今でもアドバイスを受けるという。その効果もあり、高校入学時は6秒6だった50メートル走のタイムが今では6秒2まで向上。「教わった成果が出ているのかなと思います」と変化を実感していた。

 今後の進路については「この夏の大会で決めるつもりですけど、プロの舞台で頑張りたいと思っている」。この日も中日、阪神、ロッテなど5球団がバックネット裏から視線を送った。中日の正津英志スカウトは「コンタクト能力が高い選手。変化球の対応も良く、ここからさらに調子が上がってくると思う」とそのミート力を評価していた。

 県内無敗で目指すは夏の甲子園。「秋春と優勝してきているが、夏勝たないと甲子園には行けない。みんなで優勝できるよう頑張っていきたい」。リードオフマンがチームを夢の聖地に導く。

(高澤 孝介)

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