◆第107回全国高校野球選手権神奈川大会 ▽3回戦 東海大相模11―0高浜=5回コールド(17日・サーティーフォー相模原)
神奈川では、甲子園春夏通算5度の優勝を誇る名門・東海大相模が高浜に11―0の5回コールド勝ちで、4回戦に進出した。今夏初先発の左腕・菅野(かんの)悠(3年)が3回1安打無失点、7奪三振の快投。
渾身のクロスファイアーが捕手のミットに収まると、東海大相模・菅野は小さく息を吐いた。3回2死、カウント1―2で迎えた4球目。右打者の内角に投げ込んだ直球にバットはピクリとも動かない。10球で圧巻の3者連続奪三振。貫禄の違いを見せつけると駆け足で自軍ベンチへと向かった。「完璧な準備ができた上で試合に入ることができた」。3回1安打無失点、打者10人7Kの奪三振ショー。普段より30分早く起床するなど、心身ぬかりない準備が奏功した。
昨夏、登板こそなかったが甲子園のメンバー入り。だが今春の関東大会では制球力に課題が残り、登板機会すらなく大会終了後にコーチから「夏の構想にはない」と宣告された。しかし「ここからどう頑張るかはお前次第」。
現オリオールズで大先輩の菅野智之とは、名字の読み方は異なるが、漢字は一緒。学校の先生に「スガノ」と間違えられることもあるという。それだけの大きな存在。「すごい尊敬する存在。同じ読み方ではないけど、菅野さんのようなピッチングができたらいいな」と目を輝かせた。
この夏、実は“偉業”がかかっている。茨城・鹿島学園の鈴木博識監督は祖父。「投手は負けず嫌いじゃなきゃできないぞ」と幼い頃から教えられてきた。
◆菅野 悠(かんの・ゆう)2007年9月24日、栃木県生まれ。17歳。小山城東小1年で野球を始める。小山三中では下野シニアに所属。東海大相模では2年夏の神奈川大会2回戦で公式戦初登板。甲子園でもベンチ入りした。変化球はスライダー、カットボール、チェンジアップ。178センチ、78キロ。左投左打。
★鹿島学園・鈴木博識監督「気が半端なく強くて、すごく野球が好きな子です。小さい頃から人を頼らず、何でも興味を持って自分で調べるのが大好き。隣に住んでいたんですが、庭にブルペンを作って、3歳の頃から毎日ボールを受けていました。一番じゃないと気が済まない子です」
▼祖父と孫の甲子園出場 鹿島学園・鈴木博識監督を祖父に持つ東海大相模・菅野悠が、夏の大会初先発で3回を1安打7奪三振、無四死球で無失点の好投。祖父と孫が、監督と選手で一緒に出場は、13年夏と14年春の渡辺元智・佳明(横浜)、22年春と23年春夏の阪口慶三・高橋慎(大垣日大)の例があるが、祖父と孫が別々の学校で同じ年に出場するのは、極めて珍しいケースになる。昨夏は孫の菅野が甲子園出場、祖父の鈴木監督は茨城8強。今年は甲子園そろい踏みとなるか。