◆第107回全国高校野球選手権栃木大会 ▽2回戦 栃木工3―1宇都宮北(17日・宇都宮清原)

 公式戦初先発のマウンドでも堂々と腕を振った。栃木工の先発・成瀬琉葵(りゅうき、3年)が初戦で叔父譲りの粘りの投球を見せた。

初回から1死一、三塁のピンチを背負うも、直球で押し切り遊ゴロ併殺打。4回には無死一塁で、強烈な打球が成瀬の元に飛んだが「普段からフィールディング(練習)をしてきて、練習の成果が出た」と冷静に二塁へ送り、またも併殺を奪った。奪三振は3つながら、6回1/3を7安打1失点と宇都宮北打線を封じ込め初戦突破に貢献した。

 ロッテなどで活躍し、現在もBC栃木でプレーする成瀬善久投手(39)は叔父にあたる。年末年始などに会い、小学時代にはキャッチボールもした。左右こそ違うが「成瀬選手のような投球スタイルをまねしたい」と制球よく打者をほんろうする投球に憧れてきた。

 課題だったスタミナもウェートトレーニングに加えて、塁間のダッシュ100本を毎日継続。最速は135キロだが、この試合では常時130キロを計測し「(試合の)後半でも球速は維持できていた。そこは去年に比べて変化したと思う」と自身の進化を感じ取った。

 いつも胸に秘めている言葉がある。叔父からは「チームを信じることが大切。一人で試合は勝てない」と教えられた。

次戦は県秋春連続Vの佐野日大との一戦を迎える。「たくさんの人に支えてもらっている。攻めるところは攻めて、落ち着いて投げたい」。08年北京五輪でも快投した叔父のように大一番でもひるまず強敵に立ち向かう。(高澤 孝介)

 ◆成瀬 琉葵(なるせ・りゅうき)2008年1月29日、栃木・小山市生まれ。17歳。小学2年で野球を始め、小山三中では軟式野球部。高校では2年春からベンチ入り。遠投90メートル。好きな食べ物はうどん。181  センチ、83キロ。右投右打。

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