◆第107回全国高校野球選手権 東東京大会 ▽4回戦 葛飾野5―3日大一(18日・駒沢)

 中日・ブライト健太の母校である都立校の葛飾野に変則のドクターKが現れた。サイド左腕・津上優人(3年)が再登板を含め7回2/3で12三振を奪い、4安打1失点と好投。

3年ぶりの5回戦に駒を進めた。

 179センチ左腕は横から角度のあるボールを繰り出し、6回まで毎回10奪三振の1失点。4点リードで右翼に回った後、8回に2点差に迫られた場面で、背番号1は志願して再びマウンドに上がった。1死一塁で後続を抑えると、9回も最後の打者にチェンジアップを振らせ、12三振のうち11個を空振りで取った。

 今春の都大会1次予選で敗れた後、4月にサイドに転向。「練習試合でも打たれたので、少し肘を下げた。自分では上より横の方が、ちゃんと腕を振れる」。最速は128キロながら、右打者の内角をえぐり、外へナチュラルにシュートする球を活用。低い位置から高めに浮く軌道で空振りを誘い、チェンジアップも効果的に沈めた。

 2回戦から全3試合に先発し、計12回2/3で23奪三振。「上から投げている時はあまり三振を取れなくて、打たれるケースが多かった。投球の幅が広がって、楽な感じで投げられています」と変身を遂げた。

 高校進学の際、甲子園出場経験のある都内の強豪校からも声が掛かったが、中学3年だった2022年夏に東東京16強に進んだ葛飾野の戦いを見て、「選手の意気込み、プレーに感動した」。自宅から自転車で約50分かけて通学し、鍛錬を重ねた。助監督を経て今春の大会後に就任した松村拓人監督(37)の公式戦初采配の夏に、3年前と同じ16強入り。津上は「目標である都立初の甲子園1勝を達成するために、一戦一戦がんばっていきたい」と決意を示した。(雑誌『報知高校野球』取材班)

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