ドジャース・大谷翔平投手(31)が異例の“作家デビュー”を果たす。自身のインスタグラムで17日(日本時間18日)、愛犬のデコピンが主人公となった絵本「DECOY SAVES OPENING DAY」(デコピンが開幕戦を救う)を共同著者として出版することを発表。

これまで前代未聞の投打の二刀流で世界中を驚かせてきたが予想外の“三刀流”となった。球宴後の休養を経て18日(同19日)からは本業の後半戦がスタート。本拠地でブルワーズを迎え撃つ。

 大谷があふれる「デコピン愛」を絵本にした。インスタグラムには、絵本を置いた横でカメラ目線のデコピンが写った写真などを投稿。表紙にはユニホーム姿で左膝をついた大谷がデコピンをあやすイラストとともに、マイケル・ブランク氏との共同著者として「SHOHEI OHTANI」が名を連ねた。

 出版は米ハーパーコリンズ社で、絵はファニー・リエム氏が担当。発売は来年2月3日で、すでに米国内のアマゾンなどのオンラインサイトで予約が開始されており、値段は21・99ドル(約3270円)。売り上げは動物保護団体へ寄付するという。異色の挑戦にMLB公式サイトも「ショウヘイなのかシェイクスピアなのか?」と驚きの見出しをつけて記事を配信した。

 同社ホームページによると、開幕戦で始球式を務めることが決まっていたデコピンが、使用する予定だった「ラッキーボール」を家に忘れ、取りに戻って試合に間に合うのか―というストーリーだという。出版理由について「大谷は球界で最も有名な選手でもあり、動物保護団体の活動も支援している。

絵本を通して翔平とデコピンは、犬たちが家庭に迎えられる活動に尽力する団体を応援したいと思っている。フィクションの中で開幕戦をつくったように、翔平とデコピンは現実世界でも困っている動物を救うために尽力している」と説明した。

 大谷のデコピン愛は尽きない。23年11月にMVP受賞が発表されたテレビ番組内で抱えて登場して初披露。昨年8月28日の本拠地・オリオールズ戦では大谷とデコピンのボブルヘッド人形が配布された。始球式でも共演し、デコピンがボールをくわえてマウンドから捕手役の大谷まで小走りで届けて大きな話題になった。この日もプールで泳ぐ動画が公開されるなど、インスタグラムにたびたび愛犬の動向を投稿している。

 社会貢献活動も積極的で昨年1月の能登半島地震や、今年1月のロサンゼルス山火事でも寄付を行ってきた。23年12月には日本国内の全小学校約2万校に1校3つずつの計6万個のグラブを寄付。世間を驚かせ続ける大谷らしいサプライズとなった。(安藤 宏太)

 ◆大谷とデコピン 23年11月16日のMVP発表中継で初披露。12月14日のドジャース入団会見で名前が「デコピン」と公表した。

元の名前が「ディコイ(Decoy)」だったことが由来。昨年8月28日には大谷&デコピンのボブルヘッド人形が配布された試合で始球式を行い、大谷は先頭弾。球宴には昨年から2年連続で開催地入りしたが、「トイレでもしたらちょっと困るんで…」とレッドカーペットショーの参加は見合わせ。球場やキャンプ地で遊ぶ様子はたびたび目撃され、昨季はデコピンが描かれたスパイクも着用した。

 ◆絵本、教科書に掲載された主なプロ野球選手

 ▽松井秀喜(ヤンキースなど) 05年に絵本「ぼくんちに、マツイヒデキ!?」が出版。テレビの中から松井が現実の世界にやってきてスタートする物語。

 ▽イチロー(マリナーズなど) 06年に複数の英語教科書に取り上げられ、米国で出版された「イチローへの手紙」は野球好きの祖父が「一生敵だと思った日本人の活躍に声援を送るなんて」と少年に語り、少年がイチローに手紙を書くというあらすじ。

 ▽長嶋茂雄(巨人) 18年4月に新設された小学校5年生向けの「道徳」の教科書に登場。「長嶋茂雄の人生は七転び八起き」のタイトルで、それまでの歩みを4ページにまとめた。文部科学省の検定に合格した教科書にプロ野球関係者が出ることは初めてだった。

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