第107回全国高校野球選手権大会(5日から18日間)の甲子園練習が1日、行われ、大阪代表の東大阪大柏原・土井健大監督(36)が聖地のグラウンドで、履正社時代の恩師である、東洋大姫路・岡田龍生監督(64)と再会し、助言を仰いだ。

 懐かしい黒土のグラウンドに帰ってきた。

東大阪大柏原ナインが、14年ぶりの聖地に降り立った。履正社の選手として06年のセンバツにも出場した土井監督は15分の練習を終え「いつも通りの雰囲気。早く試合がしたい」と声を弾ませた。

 うれしい再会もあった。午前11時から練習を始めた東大阪大柏原の後に姿を見せたのが東洋大姫路。高校時代の恩師だった岡田監督とも約5分間、グラウンドで言葉を交わした。「とても喜んでくれた。運命的な出会い、簡単じゃないこと」としみじみ。春夏合わせて15度目の甲子園出場となる名将に「風やグラウンド、試合の話。また力貸してくださいと話した」と教えを請うた。岡田監督も「一生あるかないかもわからん(笑)」と感慨深げだった。

 たくさんの支えをうけて、夢の舞台でプレーする。

大会中、選手の悩みは1、2学年上の卒業生が寮に来て相談に乗ってくれた。「教え子が見えないところで後輩に手を貸してくれている」と思いやりに感謝した。プロの世界でともに戦った同学年のカブス・前田健太投手(37)や元ヤクルト・上田剛史氏(36)からは「何かさせてほしい」と連絡が来た。OBのロッテ・石川慎吾外野手(32)はオリジナルTシャツをプレゼントしてくれるという。

 オリックス、巨人では1軍出場がなく、ようやく表舞台に戻って来た“浪速のミニラ”。ノックを打ちながら「本当にここまで来たんだ」と実感が湧いた。多くの人から祝福を受けて挑む、監督として初の聖地。快進撃が幕を開ける。(藤田 芽生)

 ◆土井 健大(どい・けんた)1989年1月24日、兵庫・芦屋市生まれ。36歳。履正社で、06年センバツに「4番捕手」で出場。同年の高校生ドラフト5位でオリックスに入団。

10年オフに巨人と育成契約するも、11年限りで現役引退。12年からはブルペン捕手を務めた。14年に社会人のミキハウスREDSで現役復帰も同年に退団し、軟式の大阪シティ信用金庫でプレー。17年から東大阪大柏原のコーチに就任し、18年からは監督。

 ◆履正社の06年センバツ 岡田監督が率いて初出場。1回戦で高浜卓也(元阪神、ロッテ)、福田永将(のぶまさ、元中日)、下水流昂(こう、元広島、楽天)、佐藤賢治(元ロッテ、日本ハム)らを擁して優勝候補の横浜と対戦した。1学年上の“浪速のゴジラ”のT―岡田(元オリックス)にちなんで、“浪速のミニラ”と呼ばれていた主将の土井は4番・捕手で出場。7回にチーム初安打を放ったものの、4打数1安打に終わり、二飛で最後の打者となった。チームも川角謙(元東芝)に2安打で0―1の完封負け。97年夏に続いて甲子園初勝利はお預けとなった。横浜はその後、春3度目の頂点に立った。

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