第107回全国高校野球選手権大会(5日から18日間)の出場校による甲子園練習で2日、豊橋中央のエース・高橋大喜地(だいきち)投手が横浜・阿部葉太中堅手(ともに3年)に心理戦を仕掛けた。2人は中学時代の球友で、チームを春夏通じて初の聖地に導いた右腕は「早く打席に来い」と挑発。

松坂大輔氏を擁した98年以来の春夏連覇を狙う名門の主将は、甲子園での再会を「励みになる」と冷静に受け止めた。

 豊橋中央・高橋が元チームメートに高校生らしからぬ“口撃”だ。27年ぶりの春夏連覇を狙う横浜の主将・阿部葉は、中学時代に愛知豊橋ボーイズでともに戦った盟友。「中学の時(の阿部葉)はちょっとすかしてる感じでした。今はだいぶすかしています(笑)」。今も連絡を取り合う親密な仲だからこそ、容赦なく心理戦を仕掛けた。

 最後に顔を合わせたのは、昨冬行われた同ボーイズのOB戦だったという。「とにかくカッコつけてました。みんなが金属バットを使ってる中、1人だけ木製を使って。上(大学)を見据えてる感を出してました」。自身も阿部葉同様に名門校への入部を検討したこともあったが、萩本将光監督(42)の「甲子園へ行く」という情熱に打たれ、進学を決めたという。

 背番号1は7月27日の愛知大会決勝でアゴを突き出す表情が話題となり“豊橋中央のアントニオ猪木”として一躍、有名になった。

大好きなアントニオ猪木氏譲りの“投魂”で延長11回を投げ抜き、センバツ制覇5度の東邦を破って初の甲子園出場を決めた。するとアントニオ猪木氏のライセンスを管理する会社から闘魂タオル60枚も贈られる事態に発展。“猪木顔”についてはこの日、萩本監督を通じてクギをさされたとみられるが、高橋は「自分を解放できないのは痛いけど、出てしまう時が少しはあるかもしれない」と苦笑いで受け止めた。

 激しくライバル視する阿部葉は、神奈川大会準々決勝の平塚学園戦で劇的なサヨナラ打を放った。高橋は「『三振しろ、三振しろ』と思って見てたんですけど、打った」と脱帽し、「これからは『打て打て』って思って三振させます」と直接対決の実現を願った。“口撃”したからには勝つ。真っ向勝負から逃げはしない。(松ケ下 純平)

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