左肘じん帯損傷で離脱している巨人の岡本和真内野手(29)が2日、DeNA戦(東京D)の試合前練習に参加した。負傷後初めて本拠地でフリー打撃を実施。
力みのないスイングから放たれた岡本の打球がすっ飛んでいった。負傷後初めて東京Dで行ったフリー打撃。右へ左へいとも簡単にフェンスを越えていく。「ラストいきます」と声を弾ませると、最後の1球はバックスクリーン右へ特大弾。納得したような表情を浮かべながら、うなずいた。
圧巻の“ショー”で視線を独り占めにした。首脳陣、スタッフ、選手らが打撃ケージ裏に集う中、39スイングで3連発を含めて11本のサク越え。逆方向の右翼席上段への一発やバックスクリーンへ放り込んだ打球も多数あった。練習後に取材しようと集まる報道陣を確認すると、岡本は笑みを見せつつ小走りでベンチ裏に下がったため対応はなかったが、飛距離と驚異的な弾道が回復の“証し”となった。
首脳陣もひと安心の様子だ。5月6日の阪神戦(東京D)で守備の際に走者と交錯し負傷して以降、懸命にリハビリを重ねて戻ってきた主砲。打撃を見守った阿部監督は「いいんじゃないですか」と目を細める。二岡ヘッド兼打撃チーフコーチが「見た感じはいいかな。後は試合で打ってみてどうなるか」と語れば、亀井打撃コーチは「一日でも早く戻ってほしい」と帰還を待ちわびた。
今後は実戦を重ねながら、1軍を目指すことになる。当日の状態を慎重に見極めた上での判断になるが、順調にいけば3日のイースタン・ロッテ戦(Gタウン)で89日ぶりに実戦復帰する見通し。阿部監督は1軍復帰までに「(岡本)本人は20打席くらい立ちたいって言っているから。そこはもう尊重して。急がせずに」と説明しており、2軍戦で打席を積んでいく。いきなりフル出場はしないことを考慮すると、目安となる20打席を確保するためにファームで5~8試合ほど出場すると見られる。着実にステップを踏むことができれば、8月中旬での1軍復帰を視界に捉える。
復帰後は三塁での固定起用が明言されている。この日は三塁や二塁でノックを行い、軽快な動きを披露した。逆転Vに貢献するために走攻守でさらに仕上げていく覚悟だ。「戻るにしても、ただ戻るだけでは迷惑をかける。しっかりと戦力になれるように戻らないといけない」と決意をにじませていた岡本。復活への明るい道筋が開けてきた。(宮内 孝太)
◆岡本の負傷とリハビリ経過
▽5月6日 阪神戦(東京D)の一塁守備で、それた送球を捕球した際に、打者走者の中野と交錯して左肘を負傷。その後「左肘じん帯損傷」と診断された。
▽同22日 包帯を外し、サポーターのみを着用して初めて練習。約30メートルの距離でのスローイングを確認した。
▽6月12日 グラブをつけてキャッチボールを行い、ノックを再開。
▽7月12日 負傷後初めてベースランニング。
▽同25日 患部の左手を使った本格的な打撃練習を再開。
▽同26日 屋外でのフリー打撃を再開。右翼フェンス直撃のライナーなど安打性の打球を連発した。