セ・リーグの理事会が4日、都内で行われ、2027年シーズンから指名打者(DH)制の導入が正式に決まった。鈴木清明セ・リーグ理事長は「新たなセ・リーグの野球に挑戦する時期が来た」と話した。
セ・リーグのDH制度導入については、2016年頃から理事会で議論が始まったという。2019年には巨人・原辰徳監督(当時)がオーナー報告で「(セ・リーグも)DH制は使うべきだろうね。DH制で相当、差をつけられている感じがあるね」と提言したこともある。
コロナ禍だった20年の日本シリーズではNPBが35年ぶりに全試合でDH制を導入すると発表。コロナ禍による過密日程で投手の負担軽減を目的にソフトバンクが申し入れ、臨時実行委員会で特例として認められた。
WBCや五輪など主要国際大会でも採用され、米大リーグでは1972年から施行されているア・リーグに加え、22年からはナ・リーグが正式に導入。日本のアマチュア球界では、社会人は導入済みで、東京六大学連盟と関西学生連盟が来春のリーグ戦から採用し、これで全日本大学連盟に加盟する全27連盟でDH制が実現する。
今季のセ・パ交流戦は63勝43敗2分けとパ・リーグが圧倒。DH制が投手のレベルアップやスラッガーの起用、育成、選手のコンディション維持などにつながっているとの見方がある。
榊原定征コミッショナーは、就任直後の23年1月の12球団監督会議で「セ・リーグのDH制はどうか」と問題提起するなど、セ・パ両リーグのルール統一を課題と掲げてきた。
◆セ・リーグのDH制を巡る経過
▽19年10月24日 巨人・原監督(当時)がオーナー報告で、セも「DH制は使うべき。DH制で相当差をつけられている感じがある」と日本シリーズでソフトバンクに4連敗した背景から提言を行う。
▽20年1月22日 12球団監督会議で巨人・原監督がDH制導入について各球団の前で初めて提案。
▽同11月12日 原監督が、選手の活躍の場が広がり投手の保護にもなって野球界の裾野拡大につながるとして、セのDH制導入を改めて提唱
▽同11月19日 NPBが日本シリーズで全試合DH制を導入すると発表。新型コロナウイルスの影響で過密日程になったことから過密日程で投手の負担軽減を目的にソフトバンクが申し入れ、臨時実行委員会で特例として決定。
▽同12月14日 巨人がセ理事会で21年の暫定的DH制導入を提案。山口寿一オーナー名で提案文書を提出も見送られた。
▽23年1月18日 12球団監督会議のフリートークでDH制の議論に。座長を務めた阪神岡田監督(当時)は「監督が楽すぎる。ピッチャーに回るとか回ってこないとか(DH制では)醍醐(だいご)味がちょっとないよな」と反対を主張。
▽25年1月20日 12球団監督会議で、ソフトバンク・小久保監督らから交流戦のセ本拠地でのDH制実施を求める声があがる。