巨人の戸郷翔征投手(25)が、エースとしての考えを記す随時掲載の新コラム「進化」。第2回は2度の2軍降格を経て、7月30日の中日戦(バンテリンD)で6回無失点で今季3勝目を勝ち取った率直な思いと、2軍生活での思いをつづった。

また5日のヤクルト戦(東京D)でカード頭を任されて先発。巻き返しを誓い、チームの力となる。

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 2度目の2軍降格を経て、ようやく3勝目を挙げることができました。すごい自分にとっていい薬になったと思います。前回は自分の中で納得できた勝利。他の登板は「ん?」っと思いながら投げることが多かったので、納得できた投球での勝利はやっぱり気持ちいいものがありましたね。

 一番は自信を持ちながら投げること。毎回いいものばかりが出るわけではないので、難しいところではありますが、前回は「これだな!」ってものがありましたし、良かったので自信を持って思うように投げられたなと思います。監督からはナイスピッチって言葉をかけていただいて、ちょっとはホッとしてくれているんじゃないかな、と思います。

 1軍で勝てない日々は、これまでの野球を楽しむという思いを見失っていました。野球の楽しさは抑えるだけではないですけど、いろんな空気や感情を持ちながら投げていくことが、楽しさの一つ。ただ今年の僕は切羽詰まりながらやっていた。

いろんなプレッシャーを背負いながらですけど、本来の僕はもっとリラックスしながら、いろんなことを考えながらやっていたんです。もちろん、それができない時は絶対に来るって分かっていたんですけど。でもすごく苦しみながらですけど、いい経験になったと思います。

 2度目の2軍降格は、もちろんめちゃめちゃ悔しかったです。でも全然悲観することではないという思いでした。僕の中では何か変化を求めて変わろうとした結果がこうなった。単純に日々の試合をこなしていたわけではない。今年は平均球速を上げて、真っすぐの質も高まれば、と思ってやっていました。それで、フォームも崩れてしまったところもありました。そこは一つ反省したことでもあります。それでも挑戦というものはやり続けなきゃ落ちていくと思うんです。今年はそれが長くて遠かった。

ただ僕はそれでも変化を恐れたくないですし、元に戻ろうとも1ミリも思っていない。元に戻ったとしても長く続かないと思うから。

 ファームでは真っすぐの投球の質を桑田さんと話をして、見直しました。僕は真っすぐとフォークでカウント、勝負どころをつくって、他を生かしているので、そこの質を落とさないことが一つの注意ポイントだと話をしました。そこに戻って投球の中で、見せ球もそうですし、カウント球もそうですし。そういう駆け引きが、真っすぐとフォークが戻ってきたら、安心して投げられる、と思って取り組んできました。

 次は中5日で5日のヤクルト戦で先発します。自分の中では、勝った次の試合がすごい大事だと思います。次の試合、どういう形で入るか、試合を終われるか。またいい状態で迎えられるのが一番ですし、これだなって、納得できる投球をまた続けることができるのであれば、その後も、続いていくと思う。すごく大事だなと僕の中では思うんです。こういうチーム状況ですし、ここまで迷惑をかけたので、その分しっかりできるように、という思いです。

やっぱりいい流れをチームに持っていくことが一番だと思いますし、苦しいところでいい準備をできることが一番かなと思います。(巨人軍投手)

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