◆第107回全国高校野球選手権大会第2日 ▽1回戦 金足農0―1沖縄尚学(6日・甲子園)
午前と夕方の2部制で実施され、沖縄尚学の最速150キロ左腕・末吉良丞(2年)が、プロ注目のエース・吉田大輝(3年)を擁する金足農(秋田)を3安打で1―0完封。14三振を奪う快投で2回戦に進出した。
丸太のような2本の足に支えられた頑強な左腕が、聖地のマウンドで奪三振ショーを演じた。太もも回り71センチの末吉が、最速146キロの重い直球と大きく曲がるスライダー、そして落差のあるフォークを自在に操り、金足農を手玉に取った。
2012年に1試合22奪三振(9回)の大会記録を打ち立てた桐光学園の左腕・松井裕樹(現パドレス)を思い起こさせる快投だ。「スピンの量が多く、空振りの取れる松井選手のスライダーは参考にしています」。初回に先頭から2者連続三振を奪った時は「(三振記録を)狙えるかも、と思いました」と16歳らしく初々しく語った。沖縄大会では29イニングで40K。「スライダーが全国でも通用することは分かっていました」と自信を確信に変えた。
兄・輝星に続いて旋風を目指した金足農のエース・吉田大輝に投げ勝った。味方は6回まで無安打だったが、「点を取られなければ負けない」と2年生にしてエースの境地に立っていた。
無四死球完封。「三振の数より無四球の方がうれしい」という制球力を支えたのが、強じんな下半身だ。
今春センバツは青森山田との1回戦で3失点完投したが、横浜との2回戦は救援で7回5失点(自責4)。7―8で敗れた。「悔しい思いをした。夏はスコアボードにゼロを並べられるようにという思いで練習してきました」と胸を張った。
沖縄尚学は甲子園通算28勝目。「まず30勝に乗せて、その先にある夏の頂点を目指して頑張りたい」。春夏連覇を目指す横浜、最速158キロの石垣元気(3年)を擁する健大高崎などに熱い視線が注がれる大会で、琉球のドクターKが一躍、夏の主役に名乗りを上げた。(浜木 俊介)
◆記録メモ
▼2ケタ奪三振&スコア1―0完封 沖縄尚学の2年生・末吉良丞が、14奪三振でスコア1―0完封。
◆松井裕樹の奪三振伝説 桐光学園の2年生左腕・松井裕樹は12年夏の甲子園1回戦・今治西戦で大会新となる1試合22奪三振をマークすると、2回戦の常総学院戦では2試合連続毎回奪三振の19K。2試合計41Kは延長戦を含めても史上最多となるなど、圧巻の投球を披露した。4試合で計68Kをマークし、大会通算奪三振でも58年の徳島商・板東英二(83)、06年の早実・斎藤佑樹(78)に次ぐ史上3位で、左腕では1位と実力を見せつけた。
沖縄尚学・末吉良丞(すえよし・りょうすけ)アラカルト
▼生まれ…2008年11月18日、沖縄県浦添市。16歳
▼サイズ…175センチ、89キロ。左投左打
▼データ…50メートル走7秒0。遠投110メートル
▼球歴… 仲西小2年の時に仲西ヴィクトリーBBCで野球を始め、仲西中では軟式野球部。沖縄尚学では1年夏に背番号20でベンチ入り。秋季大会からエースナンバーに
▼好物…ハンバーグ
▼好きな言葉…全力投球
▼特技…6歳から11歳まで、そろばんを習う
▼大家族…4人きょうだいの長男。