◆第107回全国高校野球選手権大会第4日 ▽1回戦 東洋大姫路5―3済美(8日・甲子園)

 夢の舞台で戦いきった。済美ナインの目には涙が光っていた。

2点差で迎えた9回2死二塁、2ストライクと追い込まれた代打・三浦響のバットは、空を切った。無念の1回戦敗退。「終盤にバッティングのレベルの高さを発揮されてしまった」と田坂僚馬監督は冷静に敗因を受け止めた。

 「めっちゃ負けず嫌いなんです」と語る指揮官は、3日の抽選会後に30試合分の映像を分析。東洋大姫路の対策を講じた。緩いカーブを投げ込む左腕の田河悠斗を先発に指名したのも、相手打線を警戒してのことだったが、1回2/3を3安打3失点。「起用したのは私」と責任を背負った。

 愛媛を出発する前日、恩師の墓前に手を合わせた。「甲子園へ行ってきます。がんばってきます」と同校を全国制覇に導き、14年に亡くなった上甲正典元監督に報告した。しかし、投打で力の差を実感。「これが甲子園だぞ、と厳しいお言葉を頂いてるんじゃないかな…」とつぶやいた。

「この球場でやっぱり勝ちたい」。上甲イズムを脈々と受け継ぐ勝負師が、済美を強くする。(藤田 芽生)

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