◆第107回全国高校野球選手権大会第4日 ▽1回戦 花巻東4―1智弁和歌山(8日・甲子園)
智弁和歌山は、エース・渡辺颯人(3年)が5回3失点と花巻東(岩手)に攻略されるなど、夏は出場3大会連続で初戦敗退となった。
優勝候補が初戦で散った。
中学3年の春、渡辺は「寮生活をするなら(人間性も)きっちり学びたい」と入学を決めた。21年夏には全国制覇を果たした強豪。幼なじみで世田谷西シニアの2つ先輩、青山達史(現・青学大)への憧れもあった。
春のセンバツは決勝で横浜に11失点の大敗。負けず嫌いな性格に火が付いた。悔しさを糧に、大会後から1か月間はボールに触れず、週6日の筋トレで追い込んだ。「やらないと成長できない。覚悟を決めた」。
中谷仁監督(46)の「1つのことを継続してやり続けること。自分との約束を守ること」という言葉を胸に刻む。幼稚園の時からプロ野球選手になるのが目標。進路は明言しなかったが、「日本一、次こそ必ず日本一になる」と力強く宣言した。その頬から涙は消えていた。(松ケ下 純平)
◆渡辺 颯人(わたなべ・はやと)2007年6月23日、横浜市生まれ。18歳。六つ川小1年から野球を始め、6年時にDeNAジュニア入り。中学時代は世田谷西シニアに所属し、3年時にジャイアンツカップで大会史上初の完全試合を達成。