◆第107回全国高校野球選手権大会第4日 ▽1回戦 東洋大姫路5―3済美(8日・甲子園)

 東洋大姫路(兵庫)が5―3で済美(愛媛)を破り、14年ぶり夏の甲子園1勝を挙げた。

 甲子園で元阪神・桧山進次郎の応援歌が響く中、“ヒヤマ”が躍動した。

初回2死二塁、東洋大姫路の4番・白鳥翔哉真(ひやま)が右前へ先制適時打。「内側の変化球をしっかり腕をたたんで対応できた」と口火を切った。

 3―3で迎えた7回1死二塁では3番・高畑知季が勝ち越し二塁打。続く白鳥が、4球目を左方向へ運び、2点差に突き放した。2安打2打点。兵庫大会初戦から全試合安打と絶好調だ。「これだけヒット打てると野球おもしろいでしょ」と問われると、「おもしろいです」と笑ってうなずいた。

 名前の由来は、父・一馬さん(49)が大ファンだという阪神一筋22年だった桧山選手。「父が、(桧山の)左中間の打球がすごく好きだったと言っていて、泥くさく打てたのかな」。“代打の神様”と重なる一打で導いた同校14年ぶり夏1勝。息子の姿に応援席の一馬さんも「ここに立ってくれるなんて思わなかった。感無量」とかみ締めた。

 岡田龍生監督(64)は母校を率いて夏の甲子園初勝利。履正社(大阪)を率いて初優勝した19年から数えると夏の聖地7連勝だ。初戦の固さが見える選手らに5回終了後「もう少し気持ちを下に下ろせ」と助言すると、肩の力が抜けたナインが結果を出した。

 昨夏は兵庫大会後に左足を骨折した白鳥。当時、毎日取り組んだ体幹トレーニングが今、粘りを生む。今春センバツも8打数4安打の打率5割。今夏の兵庫大会準々決勝から4番に座る。「4番はすごい特別と思われる。責任を感じている」。その一打で“夏の東洋”をけん引する。(瀬川 楓花)

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