◆JERA セ・リーグ DeNA3―4巨人(9日・横浜)

 力強さを増した体の力が、白球にもうひと伸びを与えてくれた。1―2の6回1死。

泉口は初球151キロ直球をフルスイングした。DeNA・ケイの内角高めの球威をバット伝いに感じ「いつもやられているので、スーパーピッチャー。行かないかなと思いました」という打球は右翼席ポール際に飛び込む同点弾だ。23年ドラフト同期の先発・又木を援護する5号ソロに「負けを消すことができて良かったなと思います」とうなずいた。

 打線の中心として大暴れした。同点の8回先頭では左中間への二塁打でチャンスメイク。直球が3球続いた後の内角低めに沈むフォークに反応した技ありの一打だった。直球、変化球を左右に打ち分け「今日は状態が良かったんじゃないですかね。いろんな球に対応することができた」。三塁打が出ればサイクル安打だった9回2死では中飛に倒れたが、3安打1打点で今季4度目の猛打賞だ。3番打者がバットで好調ぶりを存分に示した。

 2年目のブレイクを支えるパワーの源がある。

運動量の多い遊撃で奮闘を続けながら、体重はベストの84キロをキープ。「奥さんがご飯を作ってくれるので、そのおかげかなと思います」と愛妻の料理がその理由だ。中でもカレーが絶品で「辛いのが苦手なので、辛さ控えめで作ってくれます」とほほ笑んだ26歳。2年目のブレイクという形で、愛妻の思いに応えている。

 横浜スタジアムのナイターでは試合開始8時間前の正午前後に球場入りし、相手投手のデータに目を通すなど綿密な準備が実を結んでいる。「結構チャンスで回ってきて打てないことの方が多いので。残り試合はしっかりチャンスで打てるように頑張りたいと思います」と誓った。(内田 拓希)

 ◆高木豊Point 泉口はもう外せない選手、立派なレギュラーになった。6回、佐々木が8球粘って三ゴロに倒れた後の打席。初球は100%真っすぐと読んで右翼に同点ソロ。8回は先頭で打席に入り、初球を見逃した。直前に同点にされていたため、もし初球を打って凡打になると完全に相手に流れがいってしまう。

それを分かっているから、あえて打たなかった。わがままな気持ちを捨てる、これぞフォア・ザ・チームだ。センスが抜群で、やるべきことをやっている。結果が伴うのも納得だね。(スポーツ報知評論家・高木 豊)

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