オリックス・内藤鵬内野手(20)が、得点力不足解消の「起爆剤」に名乗りを上げた。チームは9日のロッテ戦(ZOZO)で連敗は5で止まったが、7月8日から8月7日までの23試合で7勝16敗。
オリックス・内藤は1軍初昇格だけを見据え、ファームでバットを振り続けている。「昨年までは、けがで試合に出ることが少なかった。野球ができる今はすごく充実しているし、幸せです」。左膝、左肩の負傷でシーズン大半をリハビリに費やした過去2年を乗り越え、心技体で充実。プロ3年目の今季は「確実性の向上」をテーマに設定した。「とにかく一から、新しいことに挑戦している」と成長過程も楽しむ日々だ。
高卒ルーキーだった23年は、ウエスタンの28試合で打率1割9分8厘、2本塁打、15打点。昨年は9月15日のソフトバンク戦(京セラD)でプロ初安打となる左越え二塁打を放ったが、ファームに戻ると49試合で打率1割7分6厘、2本塁打、24打点と伸び悩んだ。
変化するきっかけを与えてくれたのが、昨季終了後に就任した福川将和2軍打撃コーチ(48)だった。11月の高知キャンプでは「下半身を意識して打ってみよう」と助言され、すぐに実行。「上半身の力でバットを強く振る」ことを重視していた内藤にとっては、新鮮な理論だった。
「下半身がブレたり、ふらついたりしなければ、打撃の確実性が上がる」。今年2月の宮崎キャンプからシーズンにかけ、歩きながらのティー打撃で土台づくり。反復練習し「下半身が主導で、上体は勝手についてくるのが理想。これが無意識にできるように」と、体に染み込ませてきた。「ちょっとずつ、打席の中での対応力、確実性につながってきている」。はっきりとした成果として表れたのが、7月20日のフレッシュ球宴(丸亀)だった。
3点を追う5回2死一、三塁で、ヤクルト・石原の直球に反応。カウント1―2と追い込まれながら、しぶとく左前へ適時打を運んだ。この日の阪神戦(ほっと神戸)を終え、ウエスタンの87試合で打率2割3分1厘、3本塁打、30打点。
けがに苦しんだことを反省し、昨季終了後は人生初の減量にも挑戦した。日本ハム・清宮幸のダイエット法を参考に、年末年始は午前7時から1時間の散歩を日課とした。103キロあった体重を5キロ落としても、飛距離は維持。「体も軽いし、絶対にこの方がいい」とうなずいた。目標があれば、とことん突き詰める性格。「まだまだ無駄なものはいっぱいある…」と苦笑いでおなか回りを触った。
高校通算53本塁打。連敗を5で止めたが、得点力不足が目立つ1軍で、内藤の持つパワーは魅力だ。主戦場とする一、三塁は頓宮、広岡や宗がレギュラー。「打撃、走塁、守備。試合に出るためには、全部がしっかりできないといけない。
◆内藤 鵬(ないとう・ほう)
▽生まれとサイズ 2004年10月5日、愛知県生まれ。20歳。180センチ、98キロ。右投右打
▽主な球歴 浦里小5年から六田ファイターズで野球を始め、千鳥丘中では東山クラブで全国準優勝。日本航空石川では2年春の北信越大会で優勝も、甲子園は出場なし。高校通算53本塁打。22年ドラフト2位でオリックス入団し、通算成績は7試合で打率1割、本塁打、打点ともになし。
▽好きな食べ物 カレーライス、牛カルビ、鶏の唐揚げ、マーボー豆腐
▽高校時代の異名 能登のおかわり君
▽趣味 人気ゲームの「大乱闘スマッシュブラザーズ」でチームメートと対戦すること。同期入団の斎藤によれば「ほわほわしていて、優しい感じ」。