富山市八尾町の伝統行事「おわら風の盆」を3年間にわたって記録してきた写真家・前田賢吾氏による写真集「見たさ、逢いたさ、思いがつのる 越中八尾 おわら風の盆 写真集」がこのほど、かもがわ出版より刊行された。
本書は町の人々の営みや風景に、おわら節の唄や踊りを重ね合わせて編集され、より深くおわら風の盆の魅力を味わえる構成となっている。
前田氏は2022年に初めて現地を訪れ、その優雅で静かな踊りに心を打たれたことをきっかけに、以降、季節ごとに八尾を訪れ撮影を重ねてきた。写真を通して臨場感を伝えるだけでなく、八尾に暮らす人々の伝統への情熱を広く知ってもらいたいという思いから、本書を刊行するに至った。
前田氏は「季節ごとに八尾の町を訪ねながら、『おわら風の盆』の風景や出会った人たちを少しずつカメラに収めてきました。夕暮れの光に浮かぶ踊り手の姿や、唄や三味線、胡弓を演奏する地方(じかた)の表情、町の日常に宿る静かな熱量―そんな瞬間を一冊にまとめました」とコメント。「現地の空気を感じていただけるよう心を込めて編集しています。唄の歌詞やおわらの歴史に関する解説も、伊勢功治さんとおわら保存会の皆さんのお力添えで掲載できました。この写真集が、おわらの魅力に触れていただくきっかけになれば嬉(うれ)しいです」と結んでいる。
刊行を記念して、8月24日の午後6時から東京・新宿・紀伊國屋書店新宿本店の9Fイベントスペースにて記念イベントも開催予定。詳細は同店のホームページまで。