俳優の毎熊克哉と女優の大西礼芳(あやか)がダブル主演する映画「安楽死特区」が、来年1月23日に東京・新宿ピカデリーほかで公開されることが18日、分かった。毎熊が主演した映画「『桐島です』」(公開中)に続いてベテラン・高橋伴明監督がメガホンをとる。

 高橋監督は「痛くない死に方」(2020年)や「夜明けまでバス停で」(22年)などで、死生観と社会問題を正面から描いてきた。今作では安楽死法案が国家主導で可決された近未来の日本を舞台に、人間の尊厳や生と死、愛を問いかける。

 主人公のカップルは、回復の見込みがない難病を患い余命半年と宣告されたラッパー・酒匂章太郎(毎熊)と、彼のパートナーでジャーナリストの藤岡歩(大西)。安楽死に反対する2人は国家戦略特区「安楽死特区」に入居し、その実態を内部から告発しようとする。入居者たちの多様な境遇と苦悩、そして医師たちとの対話を通じて、心に微細な変化が訪れる。

 高橋監督は「生き死にを決めるのは大事なこと。生きたいやつと死にたいやつがいる。色んな考え、色んなシチュエーションの人を描く、群像劇にした。本作の撮影を通じ、本人の意思だけでなく、周囲の人の思いを考えるようになり、その気持ちを尊重しながら進めるべきだと感じるようになった」とコメント。さらに「安楽死という大きなテーマに対抗するには、自分の言葉を持っている人物でないと説得力がないと考え、回復の見込みがない難病を患っている章太郎をラッパーという設定にした。毎熊演じる章太郎と大西演じる歩が、どうきちんと死を選んでいるかを見てほしい」とした。

 原作は、在宅医として2500人以上を見取ってきた医師で作家の長尾和宏氏による同名小説。

尊厳死をテーマにした自著「痛くない死に方」が、高橋監督のもと映画化されて以来の関係という長尾氏は「尊厳死と安楽死は別物です。尊厳死は社会的に容認されつつある一方、安楽死は日本ではそれを望む市民が増えているにも関わらず国会でも医療界でもタブーのままです。そこに斬りこんだのが伴明監督の本作です。是非劇場でご覧いただき、大いに議論して頂ければ幸いです」とコメントを寄せた。映画のティザービジュアルも公開された。

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