今年1月の第101回箱根駅伝9位で継続中としては最長の20年連続でシード権(10位以内)を獲得した東洋大は、来年1月の第102回箱根駅伝で21年連続シード権とさらなる上位進出を目指して、福島・猪苗代町で意欲的に強化合宿を続けている。26日はトラックでスピード練習、27日は30キロ走を行った。

 東洋大は5月の全日本大学駅伝関東選考会では次点の8位に終わり、18年ぶりに本戦出場を逃した。しかし、それから約3か月、敗戦の悔しさを糧に着実に成長している。主将の網本佳悟(4年)は「今年、前半シーズンはうまくいかないこともありましたが、夏合宿は、この4年間で一番、チーム状況がいいです。下級生も頑張っています」と充実した表情で話した。

 4月の日本学生個人選手権5000メートルで優勝したエース候補の松井海斗(2年)は昨年夏は首痛などで、ほとんど練習が出来なかったが、今年の夏合宿は故障なく練習を積んでいる。「高校(埼玉栄)時代も夏は貧血などで練習ができませんでした。今年は初めて夏に順調に練習を継続できています。きょうの30キロ走も初めてです。今は練習がきつくて苦しいですけど、駅伝シーズンにどんな成果が出るか、楽しみです」と松井は前を見据えて語った。

 最近、「東洋大学」と言えば、静岡・伊東市の田久保真紀市長の学歴詐称問題が世間をにぎわしている。総合情報学部4年で卒業単位取得まで卒業論文提出だけという網本は「僕はしっかりと卒業したいです」と苦笑いした後、表情を引き締めて「伊東市長の件で東洋大が話題になっていますが、僕たちは練習に集中するだけです」と実直に語った。

 この日は午前5時30分からの朝練習、午後練習の30キロ走とウォーミングアップとクールダウンを含めれば約50キロを走った。

「その一秒をけずりだせ」をチームスローガンとする東洋大駅伝チームは、猛暑の夏に地道に自身を鍛えている。

 ◇第102回箱根駅伝の展望と東洋大の戦力 前回優勝の青学大、2位の駒大、3位の国学院大、4位の早大、5位の中大は今季も戦力が充実。同6位の城西大は「4代目・山の神」候補の斎藤将也(4年)を軸に戦う。同7位の創価大は小池莉希(3年)らが関東学生対校選手権で活躍し、勢いがある。東洋大は前回5区の宮崎優(2年)、6区の西村真周(4年)がいずれも区間9位。山の特殊区間は手堅い戦いが期待できる。同3区8位の迎暖人(2年)、同4区3位の岸本遼太郎(4年)も前回以上の走りが見込める。1区候補の緒方澪那斗(4年)、2区候補の松井海斗(2年)が強豪校のエースに食らいつけば上位争いが見えてくる。

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