今季から就任した徳本一善監督(46)のもと、箱根駅伝初出場を目指す芝浦工大が28日、合宿地の福島・檜原湖で1キロ20本のポイント練習を行った。「今年の夏合宿の中でも重要な練習です」という徳本監督が自転車で伴走し、選手の動きをチェック。

16人の選手は2グループに分かれ、レースを想定したペースで懸命に計20キロを走った。「想定した以上によく走った。強くなっています」と徳本監督は手応えを明かした。

 昨季まで駿河台大を率いていた徳本監督は今年4月に芝浦工大のシステム理工学部の准教授を兼ねて駅伝部の監督に就任した。駿河台大ではチームをゼロから作り上げ、10年目の21年10月の箱根駅伝予選会を突破し、初出場に導いた指揮官は芝浦工大で新たなチャレンジを始めた。徳本監督を支えるコーチ陣も盤石だ。麗沢大前監督の山川達也コーチ(41)と専大前コーチの岡田拓也コーチ(42)が今季、ともに就任した。

 主将の横尾皓(ひかる、4年)は「昨年までの夏合宿とは練習の量も質も全く違います。練習はきついですけど、チームの雰囲気はいいです」と充実した表情で話した。

 芝浦工大は2011年に駅伝部を創設。駅伝プロジェクト入学者選抜試験を導入し、さいたま市の大宮キャンパスに全天候型のトラックや選手寮などを完備。文武両道をチーム方針に掲げ、理工学系私大初の箱根駅伝出場を目指している。

 昨季の箱根駅伝予選会は23位。10位で通過した順大とは14分25秒の大差があった。「まずは15位を目標にして、今後、練習を重ねていく中で上方修正していきたい」と横尾主将は前向きに話す。今年の箱根駅伝予選会は10月18日。勝負の時まで2か月を切った。

 ◇芝浦工大 1927年に有元史郎氏が東京・大森に前身の東京高等工商学校を創立。実学重視の技術者育成教育を継承して、49年に芝浦工大が設置された。現在、工学部、システム理工学部、デザイン工学部、建築学部と大学院理工学研究科がある。東京・江東区に豊洲キャンパス、さいたま市に大宮キャンパスがあり、駅伝部は大宮キャンパスを拠点としている。工学や建築の分野で多くの優れたOBを輩出。スポーツ界の主なOBはプロ野球・西武元監督の伊原春樹氏ら。

 ◆徳本 一善(とくもと・かずよし)1979年6月22日、広島市生まれ。

46歳。美鈴が丘中1年から陸上を始め、3年時に全国大会で1500メートル2位。広島市立沼田高3年時に全国高校総体1500メートル2位。98年に法大入学。箱根駅伝では1年1区10位、2年1区区間賞、3年2区2位、4年2区途中棄権。2002年に卒業し、日清食品に入社。03、04年に日本選手権5000メートル連覇。12年4月、駿河台大駅伝部監督に就任。22年に駿河台大を箱根駅伝初出場に導いた。25年1月に監督退任。25年4月に芝浦工大監督に就任。長男・陽(ひなた)は青学大2年生で駅伝チームに所属している。

編集部おすすめ