巨人のファーム選手の今を伝える「From G」。第13回は三塚琉生外野手(21)。

3年目の今季、育成から支配下昇格を果たした左の大砲候補は、デビュー戦となった6月14日のオリックス戦(京セラD)で、球界屈指の左腕・宮城大弥投手(24)と対戦して3打席連続三振。1軍では3試合、9打席無安打と高い壁にはね返された。どんな課題と収穫を得て、再昇格へ向けた取り組みを進めているのか。現在地に迫った。(取材・構成=小島 和之)

 三塚にとって1軍でのプレーした1週間は、一流のすごみを知る貴重な時間となった。左のスラッガーは3年目の今季、2軍で自慢の打撃をアピールし、6月13日に念願の支配下選手契約を結んだ。翌14日のオリックス戦(京セラD)でプロ初スタメンを飾ったが、4打数無安打と高い壁にぶち当たった。

 「感覚的には一瞬で打席が終わってしまうような。気付いたら2ストライク、気付いたら三振だ…みたいな感じでした」

 相手先発は球界を代表するサウスポーの宮城。完璧に封じられた。3回無死一塁で迎えたプロ初打席では、初球からスイング。ファウルになったが持ち前の積極性を貫いた。

しかし、最後は外角のスライダーに手が出て空振り三振。5回の第2打席では2ストライクから外角の149キロ直球に手が出ず、見逃し三振に倒れた。そして8回1死の3打席目は、カウント1―2から外角低めのスライダーにバットは空を切り、3打席連続三振。2軍投手との圧倒的な違いは、直球の質だった。

 「球速以上のものを感じました。ピストルみたいに『パーン! パーン!』と来る感じです。まずは球速に対応できないといけないな、と」

 6月21日に2軍降格後、無駄のない動きを目指してスイング軌道を測定した。修正を重ねた結果、一時は3割を切った打率も現在は3割3分7厘まで上昇。対応力が増した打撃で好結果を残している。

 「直球に差し込まれることがないように。バットを最短(距離)で出すイメージでやっています。前までは詰まることを嫌がっていましたが、最近は嫌じゃない。

詰まっても野手の間に落ちればヒットなので、『詰まってもOK』という感覚です」

 左投手対策の必要性も痛感した。意識したのは“捨てる勇気”を持つことだという。

 「打てないボールは打てない。(外角に)逃げていく球と、内角に寄ってくるような球は厳しいので、そこは捨てなきゃという意識はある。左投手の場合は、肩口から入ってくる変化球を狙っています」

 意識の変化は、確実に結果にもつながっていると実感する。7月29日のイースタン・ヤクルト戦(戸田)では、NPB通算188勝の石川のカットボールを捉えて中前安打。8月24日の同日本ハム戦では、歴代最多423ホールドの宮西に対し、「追い込まれたら厳しい」と積極的に仕掛けて初球の変化球を左前へと運んだ。

 「少しだけですが最近は良い感じになってきています」

 1軍では3試合、9打席無安打で6三振。積極的な打撃が持ち味だが、「(前のめりに)行き過ぎた」と反省が残った。再昇格のチャンスをつかんだ際には、違う姿を見せるつもりだ。

 「やっぱりまだまだ経験が少ないので、積極的にはいきたい。ですが、1回目と同じようにいったら、同じ感じでやられてしまう。

『やるぞ!』という気持ちも大事なんですけど、もっと冷静に、同じ失敗をしないようにやっていきたいです」

 失敗も反省も、全てを成長の糧にして、力強さを増した打撃で1軍の舞台に戻る。

 ◆三塚 琉生(みつか・るい)2004年5月10日、千葉・柏市生まれ。21歳。小学1年から野球を始め、群馬・桐生第一では通算31本塁打で3年夏に県4強。22年育成ドラフト6位で巨人入団し、今年6月13日に支配下昇格。太い眉毛がトレードマークであだ名は「ケンシロウ」。座右の銘は「継続は力なり」。182センチ、93キロ。左投左打。

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