◆第1回中京2歳S・G3(8月31日、中京競馬場・芝1400メートル、良)

 小倉2歳Sから舞台と名称が改められた第1回中京2歳S・G3(中京)は6番人気のキャンディード(北村友)がJRA2歳レコードで“初代王者”に輝いた。

 衝撃のスピードで初代王者に名を刻んだ。

1000メートル通過が56秒1という激流のなか、キャンディードは中団でじっと脚を温存。残り400メートルで進路を外へ切り替え、前で脚を伸ばす1番人気のスターアニスを目標に進撃を開始した。余力は十分。北村友は右ステッキを駆使しながら、両腕を大きく使って全力で手綱を押す。メンバー最速の上がり3ハロン33秒9の決め手で一完歩ずつ着実に差を詰め、首差だけ前に出たところが重賞初制覇のゴールだった。

 6週連続開催の最終日に出た勝ち時計は1分19秒4。20年ファンタジーS(阪神)でメイケイエールが記録した2歳JRAレコードを0秒7も更新した。圧巻のパフォーマンスを引き出した鞍上は「いい意味で気が抜けて、リラックスしてリズム良く追走できた。追ってからの反応はすごくよかった」。個人としても、今年の日本ダービー馬クロワデュノールで臨む来月からのフランス遠征へ弾みがつく結果に表情が緩んだ。

 能力を全て出し切っての勝利ではない。新馬戦は集中を欠き、エンジンのかかりが遅かった。

この日も「4コーナーを迎えた時は楽にかわせるかなという手応えだったが、調教で見せていた気の悪さがスッと抜け出せなかった原因かな」と北村友は指摘。成長して気性面が改善されてくれば、持ち味の強烈な末脚はさらに威力を増す。

 1ハロン延長にも対応。今後は未定だが、選択肢が大いに広がった勝利であることは間違いない。「ちょっと気の悪さはあるけど、2歳にしては完成度が高い。それを再確認できました」と松下調教師。まだ粗削りながら高い能力の一端を示したトーセンラー産駒が、2歳戦線を先頭で引っ張っていく。(山本 理貴)

 キャンディード 父トーセンラー、母ストロボフラッシュ(父スペイツタウン)。栗東・松下武士厩舎の牡2歳。北海道千歳市・社台ファームの生産。通算成績は2戦2勝。重賞初制覇。

総獲得賞金は3895万5000円。馬主は(株)グリーンファーム。

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