侍ジャパンU―18壮行試合 高校日本代表1―8大学日本代表(31日・セルラー那覇)

 愛弟子たちの雄姿を、ネット裏の最前列から見届けた。「紋別から、2400キロかけてやってきたんですよ」。

横浜の村田浩明監督(39)は夏季キャンプ地の北海道・紋別から、遠路はるばる那覇に駆けつけた。

 北から南への大移動。しかし、来た甲斐はあった。教え子たちは「JAPAN」のユニホームをまとい、いずれも躍動したからだ。

 今回の高校日本代表20人中、横浜の選手は実に4人を占める。主将の阿部葉太中堅手は高校ジャパンでもキャプテンに任命され、この日は4番で2安打。3番の為永皓三塁手、6番の奥村凌大二塁手はともにヒットを放ち、エース左腕の奥村頼人投手は8回の1イニングを1四球も無安打無失点、2奪三振と快投した。

 そして、彼ら4人が入学した際の主将だった緒方漣内野手(国学院大2年)は大学ジャパンの一員として途中出場し、2四球と好守でいい働きをした。指導者冥利に尽きるだろう。

 中でも阿部は宮城誇南(早大3年)、毛利海大(明大4年)と東京六大学が誇る2人のサウスポーからヒットを放った。金属から木製に変わっても、対応力が際立った。村田監督は目を細めた。

 「普段から木製で練習していますので、順応できていますね。みんな活躍してくれて、びっくりです」

 村田監督は阿部のリーダーシップを買って、高2の5月に主将の重責を託した。昨秋の明治神宮大会優勝から、今春のセンバツ制覇、そして今夏の甲子園まで、個性派がそろう名門を牽引してきた。その姿を高校日本代表の小倉全由監督(68)は見てきた。日本代表でも迷いなくキャプテンに任命した。

 村田監督は言った。

 「うれしいですよね。いろんなものを乗り越えてきた。そういったところを、見て下さる方がいた。阿部は横浜で2年半、頑張ってきたんですが、今は日本代表の舞台で『小倉監督さんを勝たせたい』という強い気持ちを持って臨んできますと、話してくれたんです。阿部らしく、みんなを一つにして、引っ張ってもらえればと思いますね」

 試合後、阿部の囲み取材では、村田監督の話題になった。阿部は少しだけ表情を崩して、こう語った。

 「きょう以上の活躍をして、もっともっと監督さんを楽しませたいと思っています」

 2023年、台湾で行われた前回大会では、緒方が世界一の原動力となり、MVPに輝いた。今年はどんなドラマが生まれるのか。横浜の4人の活躍がカギを握るのは、間違いなさそうだ。(編集委員・加藤弘士)

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