週末の4重賞の出走馬が4日、確定した。最終週を迎えるサマーシリーズは逆転王者を狙う馬が多数出走する混戦模様。

ジョッキーズシリーズで3位タイの松若風馬騎手(30)=栗東・フリー=が、スプリント第6戦の第39回セントウルS・G2(7日、阪神)とマイル第4戦の第70回京成杯AH・G3(6日、中山)に騎乗してトップを追う。

 全く気負いのない姿が充実の証しだった。松若は現在、サマージョッキーズシリーズで3位タイの26ポイント。最終週の今週は上位5位の中で唯一、対象2レースに騎乗する。「もともと、冬より夏の方が好きなんです。こういうシリーズで上位争いはあまりないですけど、そんなに考えてもね。一度、1位になった時は少し意識しましたけど」と笑う。

 一つの勝利で潮目が変わった。9番人気のイングランドアイズで勝った7月20日の小倉記念だ。今年はそれまで7勝だったが、その後の1か月半で5勝。中京記念(シンフォーエバー)は7番人気、キーンランドC(ペアポルックス)は4番人気で2着に入り、中身の濃い内容でポイントを重ねていった。「やはり、あの勝ちが一つのきっかけにはなりました。

依頼の数は多くなって、いい馬を頼まれる機会も増えたと思います」

 特別なことをしたわけではない。今春に解散した音無厩舎所属からフリーとなった今も、火~金曜は午前5時から始まる栗東の調教には毎日駆けつける。追い切り以外でも意欲的にコンタクトを図り、人馬の意思の疎通を図る日々。「競馬って思うように乗れないことが多いんですけど、今はこう乗れればいいなと狙っている騎乗ができているのが多いかなと思います」。酷暑の中で日々流した汗と積み重ねた努力が好循環を呼び込んでいる。

 「1600メートルの方が競馬しやすいんじゃないかと思う」ドロップオブライトの京成杯AH、「自分の競馬に徹したい」テイエムスパーダのセントウルS。ともに伏兵的な立場だが、今夏は波乱を演出することで存在感を示してきた。「シリーズを考えるより、目の前のレースを頑張るだけですよね」。4日に30歳になったばかりの“夏男”が自然体で最高の夏を締めくくる。(山本 武志)

 ◆松若 風馬(まつわか・ふうま)1995年9月4日、滋賀県生まれ。30歳。14年3月に栗東・音無秀孝厩舎からデビューし、現在はフリー。

1年目に47勝を挙げ、中央競馬関西放送記者クラブ賞、最多勝利新人騎手賞を受賞。JRA通算489勝。20年高松宮記念(モズスーパーフレア)のG1・1勝を含む重賞12勝。151センチ、45キロ。血液型B。

編集部おすすめ