歌手の橋幸夫(はし・ゆきお、本名・橋幸男=読み方同じ)さんが4日午後11時48分、肺炎のため都内の病院で死去した。82歳だった。
認知症は大きくアルツハイマー型と脳血管性の2つに分類される。脳梗塞や脳出血をきっかけにして一気に記憶障害を発症する脳血管性に対し、橋さんが患ったアルツハイマー型の記憶障害は段階的に症状が進む。脳に蓄積したアミロイドβによって細胞が破壊され、脳が萎縮(いしゅく)されることで記憶能力を失っていく。飲み薬や貼り薬で症状の進行を遅らせることはできるが、完治は難しい。
頭を使うことも進行を遅らせることに有効な方法の1つ。橋さんは今年5月のコンサートで予定していた3曲を歌えず「みんなに迷惑かけているならしばらく休む。俺、頭の中がさっぱり分からなくなっちゃうんだ」と吐露。しかし所属する「夢グループ」石田重廣社長は「何もしない生活にすればあっという間にガタガタと(症状が進行)するんじゃないかと。それならば皆様に知ってもらって、こういう状況でも頑張っていくとした方が良い」として、活動継続を勧め、病名の公表に踏み切っていた。