5日に訃報が発表された橋幸夫さん(享年82)と女優・吉永小百合(80)がデュエットした大ヒット曲「いつでも夢を」(1962年、作詞・佐伯孝夫、作曲・吉田正)。誰もが知る”国民的愛唱歌”だが、信じられないような誕生秘話がある。
同曲は橋さん27枚目、吉永3枚目のシングルで、第4回日本レコード大賞を受賞した。当時、2人ともに多忙を極め、レコーディングは別々に行われた。そして当時の技術を駆使して、デュエットしているように“合体”させるという異例の手段で発売された。
2人の忙しさを物語るように、橋さんと当時18歳だった吉永の初顔合わせは、この年のレコード大賞会場。見事大賞に輝く。まさにぶつけ本番ながらもほとんど違和感なくデュエットしたのは有名なエピソードとして伝説に残る。歌謡界、映画界とジャンルは違えど、2人が若くして不動のトップスターであることを証明してみせた。
橋さんはこの歌をコンサートのラストに歌うことが多かった。吉永は先ごろ「いまも色紙に一言添えるときは『いつでも夢を』と書きます。歌うチャンスはいまはないですが、心の中で歌っています」とこの歌への色あせることのない思いを語っていた。
歌がヒットした翌63年には、同タイトルで日活が映画化(野村孝監督)。高度成長期の工場地帯を舞台に、貧しい生活の中でも幸せになろうと懸命に生きる若者たちの青春を描いた。