パラリンピックの競泳女子で金メダル15個を獲得し、「水の女王」と呼ばれた成田真由美さんが5日午前1時48分、肝内胆管がんのため死去した。55歳だった。
指定されたインタビューの場所に訪れた成田さんは満面の笑みだった。21年東京パラリンピックの開幕2か月前に同席したタレント・高橋みなみとの対談企画。場所は「いきつけ」だという川崎市内の洋菓子店。同席した記者にも「ぜひ食べていってくださいね」とケーキを勧めてくれた。「他のもお勧めなので、ご家族に」と営業上手な一面も見せてくれた。なかなか対面で取材もできない中、少しだけ「コロナ禍前の世界」を思い出せたことを今でも覚えている。
インタビューでも「水の女王」と呼ばれた成田さんの神髄を感じることができた。「緊張感は挑戦するから楽しめる。終わったあと『やった』と思えるから大事なんです」。51歳だった東京大会では「子供にしちゃ小さく、孫にしちゃ大きい」という中学、高校生の初代表組を励まし、自らは最後に50メートル背泳ぎで6位入賞。
◆成田 真由美(なりた・まゆみ)1970年8月27日、川崎市生まれ。13歳で脊髄炎を発症し、両下肢まひに。パラリンピックは96年アトランタから2008年北京まで4大会連続出場し、金メダル15個を含む計20個のメダルを獲得。東京五輪・パラの招致に携わり、14年に現役復帰して16年リオ大会では50メートル背泳ぎで日本新。21年東京大会も混合リレーなどで通算6度目の代表に選出された。