◆世界陸上 第1日(13日、国立競技場)

 男子100メートル予選で日本勢3人が予選で消えた。2大会連続ファイナリストのサニブラウン・ハキーム(26)=東レ=が10秒37(無風)の7組7着、元日本記録保持者の桐生祥秀(29)=日本生命=は10秒28(向かい風1・1メートル)の3組5着、初代表の守祐陽(もり・ゆうひ、21)=大東大=は10秒37(追い風0・1メートル)の2組7着。

2015年北京大会以来、5大会ぶりに日本勢全員が予選で敗退した。

 ホームで力を発揮できなかった。守、桐生に続く3番手で登場したが、世陸2大会連続ファイナリストのサニブラウンまでも世界大会で自身初めて第一関門を突破できなかった。10秒02でゴールした1位選手とは0秒35の大差で敗れた。「悔しいの一言に尽きる。準備不足としか言いようがない」と表情を変えずに話した。

 号砲が鳴り、大外の9レーンからスタートブロックを蹴った瞬間「しっかり前に出られなかった」。リカバリーしようと試みたが、「後半に失速してしまった」と振り返った。1か月で休みは「3日あるかないかくらい」というほど練習を詰め込み、調整を進めてきたが「付け焼き刃でしかない。この世界は甘くない」と万全の準備はできなかった。

 7月初旬の日本選手権前に右股関節上部の骨挫傷と診断を受け、同大会は予選敗退。同月下旬までには完治し、今大会のウォーミングアップでも「動き自体は悪くなかった」と感触を持っていたが、レースは序盤で崩れた。

 国立競技場に詰めかけた満員の観客からは大歓声で後押しを受けた。「鳥肌が立ちました。言葉では表せない」と感謝した。男子400メートルリレー予選(20日)でも出場の可能性は高く、「走るならその仕事をする」と“リレー侍”としての責任感を口にした。サニブラウンには、巻き返すチャンスがある。(手島 莉子)

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