◆世界陸上 第8日(20日、国立競技場)

 女子20キロ競歩で、4回目の出場となった藤井菜々子(エディオン)が1時間26分18秒の日本新記録で銅メダルを獲得した。自身が今年2月にマークした従来の日本記録(1時間26分33秒を15秒更新。

猛追してきた4位のトレス(エクアドル)をぎりぎりで抑え、同タイムの接戦を制して日本女子競歩界初のメダルを手にした。

 藤井は所属するエディオンの元監督で8月22日に急逝した川越学さん(享年63)を思い、左胸に喪章をつけて出場。レース中も「絶対見守ってくれる」と喪章を確認しながら歩き抜いた。藤井にとって川越さんは「コーチなんですけどお父さんみたいな存在」だった。直前に声を聞き安心してスタートラインに立つのがルーチン。今回は声をもらえず「心細かった」というが、落ち込む姿より元気に歩く姿を見せようと自らを奮い立たせた。

 突然の訃報だっただけに「たくさん後悔した。1か月苦しい思いがあった」と吐露。それでも取材対応時は涙を見せず、気丈に振る舞った。「川越さんの分までっていうのは、ちょっとおこがましいっていうか、まだそこまでは言えないんですけど。川越さんの思いを背負って歩くことができました」と胸を張った。

編集部おすすめ