◆世界陸上 第8日(20日、国立競技場)
女子5000メートル決勝が行われ、日本記録(14分29秒18)保持者の田中希実(ニューバランス)は15分7秒34で12位だった。
残り1周(残り400メートル)で田中はトップと0秒73差の7位と先頭集団で踏ん張っていたが、ラストスパート勝負で苦戦し、12位に後退。
驚異の13分58秒06の世界記録を持つチェベト(ケニア)が14分54秒36で優勝した。
田中は、大会初日(13日)の1500メートル予選では1組10位で敗退。不安を抱えたまま迎えた18日の5000メートル予選は14分47秒14の5着で決勝進出を果たした。その裏には盟友の存在があった。同じ1組だった山本有真(積水化学)がレース中盤までは先頭を走り、ペースメーカーのような役割を担った。「彼女(山本)の方から『私に何かできることがあれば』と言ってくれた。レースプランに迷いがある中で最後のピースを彼女がはめてくれた」と山本に感謝した。レース後、決勝に進出した田中と予選敗退した山本はともに涙を浮かべて固い握手を交わした。
5000メートル決勝は、盟友の山本の思いも背負って力走したが、世界トップの壁は高かった。田中希実は、自国開催のビッグイベントを入賞なしで終わったが、日本女子中距離界のエースとしての意地は見せた。
◆田中 希実(たなか・のぞみ)1999年9月4日、兵庫・小野市生まれ。26歳。小野南中3年で全中1500メートル優勝。西脇工で全国高校総体3年連続入賞。18年U20世界陸上3000メートルで日本人初優勝。同大に進学。19年ドーハ世界陸上で5000メートルに出場し、21年東京五輪1500メートルは8位入賞。22年オレゴン世界陸上は800メートル、1500メートル、5000メートルの3種目で出場。23年ブダペスト世界陸上は5000メートル8位入賞。家族は両親と妹。153センチ。