兄弟デュオ「ビリー・バンバン」で活躍したミュージシャンの菅原孝(すがわら・たかし)さんが11日午後4時34分、肺炎のため、都内の病院で死去した。所属事務所が24日、発表した。

81歳だった。遺族の希望により、葬儀は近親者のみで執り行った。喪主は妻の菅原けい子さん。孝さんは14年に脳出血を患い、リハビリに励んでいた。

 1966年に弟・進が結成したバンドに参加。一時は、せんだみつおが所属していた時期もあったが、69年に孝さん、弟の進との兄弟デュオに落ち着いた。同年1月にシングル「白いブランコ」でデビューすると、透明感のあるハーモニーでいきなりの大ヒットを記録。10月に「ミドリーヌ」、72年2月に「さよならをするために」、同8月の「れんげ草」も立て続けに売れ、その年の12月にNHK紅白歌合戦に初出場した。

 慶応大学卒業の孝さんと青山学院大卒業の進。知的なイメージと甘い歌声で人気だったが、76年にお互いの考えの違いから解散。音楽活動を続ける進に対し、孝さんは明るい性格を生かして司会者の道へ。「ハッピーリビング」(テレビ埼玉)など、テレビ番組MCやラジオパーソナリティー、イベントでも活躍した。

 84年、デュオ復活を望むファンの声に応えて再結成した。87年には麦焼酎「いいちこ」のCMソングを手掛け、93年からは2人で歌うようになった。兄弟で還暦を過ぎた2007年には、同CMソングの「また君に恋してる」を発表。この曲は09年に坂本冬美がカバーして大ヒットした。

 節目の年に兄弟そろって病魔に襲われた。デビュー45周年の14年。5月に進が大腸がんの手術。7月には、孝さんが母の介護のために訪れた東京都国立市の実家で脳出血を患った。孝さんは入院生活の末、左半身に後遺症もあり、車いす生活になったが、発症から11か月後の15年6月、2人で復活のステージに立った。

 テレビ番組などで不仲をネタにすることはあったが、「世界で最も長く活動を続ける兄弟デュオ」としてギネス世界記録に申請され、進も「兄貴あってのビリーバンバン」と公言していた。

 14年に孝さんが倒れた際、病み上がりの進が報道陣の前で病状を説明した。復帰後も孝さんの車イスを押すなど、献身的なサポートで絆の強さを見せていた。

 ◆菅原 孝(すがわら・たかし)1944年8月7日、東京都国立市出身。慶応大学卒。69年に進が作っていたバンドに参加。「ビリーバンバン」としてデビュー。解散した時は「おはようしずおか」(静岡けんみんテレビ)、「カラオケいちばん」(テレビ埼玉)のMCや、「菅原孝のコケコッコー!」(文化放送)のパーソナリティーを務めた。2014年の脳出血では「左片まひ」「右視床出血」を患いリハビリ。15年5月にラジオ番組で仕事復帰していた。

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