女優・吉永小百合(80)が24日、東京国際フォーラムで行われた主演映画「てっぺんの向こうにあなたがいる」(10月31日公開、阪本順治監督)の完成披露試写会で舞台あいさつした。

 「てっぺん―」は吉永の124本目の映画出演作で、女性として世界で初めてエベレスト登頂に成功した登山家・田部井淳子さん(2016年没、享年77)の成功と苦悩が描かれる。

阪本監督らは、スペイン最大の「第73回サン・セバスティアン国際映画祭」での世界初上映から22日に帰国したばかり。現地での大反響を見届けての凱旋上映となった。

 邦画界の女優の“てっぺん”に立つ吉永。この日を迎え、何度も涙ぐみ、涙をこらえようと口を一文字にする姿が。田部井さんと実際に会って話したときを改めて振り返り「明るく力と決断力がすごい人。こんな風に生きられたら。私は山登りはあまりできないけれど、一歩一歩、前を向いて歩いていきたい」と人生に大きな影響を与えた人物であることを強調した。

 ステージ上に設置されたエベレストの大看板が目に入ると「この頂に田部井さんは立ったんだな」の思いを新たに。映画祭では「上映後は(観客に)360度囲まれた。『山登りを通して人生が描かれている』と言われたのが印象的だった」と阪本監督。そしてオーストリアの世界的な女性登山家ゲルリンデ・カルテンブルンナー氏から、田部井さんの映画をつくって欲しいと思っていたのでうれしい、と感激されたという。

 この報告を受けた吉永は「本当は…」と切り出し、「アメリカが作ろうとしたんですね。

その権利が切れたことで、今回のような形になった。ラッキー。天国から田部井さんが応援してくださっていたんじゃないかと思う」と意外な事実を明かし、田部井さんに感謝した。今作は韓国、ハワイの映画祭でも上映。10月27日開幕の東京国際映画オープニング上映作にも決まっている。

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