俳優・成宮寛貴(43)が、演出家・宮本亞門氏(67)と25年ぶりにタッグを組み、12年ぶりに舞台出演することが25日、分かった。来年1月に東京・紀伊國屋サザンシアターで開幕(8日~2月1日)する三島由紀夫の代表作「サド侯爵夫人」に挑む。

 成宮にとって宮本氏は恩人だ。2000年のデビュー作、舞台「滅びかけた人類、その愛の本質とは…」が宮本氏の演出だった。役者の原点。無垢な若者はもがきながら「演じること」を考えた。「あのときから年月を重ね、再びこのタイミングで組めることに、運命的な巡り合わせを感じています」と決意のこもった言葉が出てくる。

 先ごろ、2人は会っている。宮本氏は「純粋な目でいろんなものに興味を持つ姿は昔から変わっていない」と豊かな感性が失われていないことを確信。成宮は役者として本気で完全復帰したい思い、目標に向けて集中する準備が整っていることなど胸の内を明かした。

 また、つらい経験があったとしても、それらは決して無駄なことではなく、俳優を続け、人を成長させる上で有益であることを語り合ったという。宮本氏は「日本演劇界の頂点ともいえる作品。新たに創り出す喜びに胸が震える。成宮くんをはじめ、個性ある俳優たちと、かつてない舞台として結晶させ、お見せします」と早くも手応えをのぞかせる。

 三島の傑作戯曲に挙げられる「サド侯爵夫人」は革命が起きる18世紀のフランスが舞台。悪徳の限りを尽くしたサド侯爵と、貞淑とされるその妻ルネ(成宮)の関係を軸に展開する。女性たちの対立的な会話から心の動きが細やかに描かれていく。劇中、サド侯爵自身は姿を見せずに進行するが、今回の大きな特徴はオールメール(全員男優)で演じられることだ。今年は三島の生誕100年で「サド侯爵夫人」の出版(1965年)から60年。大きな節目の年に来年に向けて注目の舞台が始動する。

 〇…宮本氏が過去に演出した三島作品には舞台「金閣寺」「ライ王のテラス」、オペラ「金閣寺」「午後の曳航(えいこう)」がある。共演は東出昌大三浦涼介大鶴佐助首藤康之加藤雅也と演技派が顔をそろえる。東京公演後、大阪、愛知、福岡でも上演される。

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