馬トク報知で過去の名勝負を当時の記事から振り返る【競走伝】。今回はカラジが勝った2007年の中山グランドジャンプを取り上げる。

外国馬による異例とも言える3連覇は、今もJRA史上に残る偉業となる勝利だった。

 一段と歓声が大きくなった。カラジが最後の障害を越えた直後だ。鞍上のスコットの左腕が大きく、勢いよく回り始めた。「出ました、風車ムチ!」。3年連続で駆け抜けるウイニングロードに響き渡る場内実況。もう日本のファンにもおなじみのアクションだ。そのゲキに応えるように12歳馬は最後の底力を絞り出す。大きな拍手に包まれたゴール板。今年もカラジは強かった。

 スコットは喜びを爆発させた。「馬の状態は申し分なかったので、後は自分が仕事をこなすだけだった。

本当に強かった」。12歳でのG1制覇は昨年、自身が打ち立てた最年長記録をさらに更新するもの。何より、外国からの「刺客」がJRAのG1を3連覇すること自体、考えられない。

 そもそも、常識外れの馬だった。シャーガーやシングスピールなど数々の名馬を手がけた英国のスタウト厩舎からデビューしたが、豪州に移籍。障害入りしたのは実に8歳の時だった。その後、10歳から中山GJを3連覇するが、この間に豪州では平場だったとはいえ、14戦未勝利。地元で決して目立たない存在だったが、日本に来ると光り輝いた。巧みなジャンプ、豊富なスタミナで日本馬を圧倒。この3連覇を達成後、マスグローヴ調教師は「来年も来たい。馬が日本を大好きみたいだから」と4連覇へ意欲を見せたほどだった。

 その言葉通り、翌年も日本にやって来たが、前哨戦のペガサスJSへの調整を続けていた3月27日に右前浅屈けん炎を発症。

そのまま現役を引退したが、日本のファンから惜別のメッセージを送れるほど愛されていた。約10年もの間走り続け、積み重ねたキャリアは実に96戦。引退後も長く余生を過ごし、2024年に天国へ旅立った時は29歳と大往生だった。12歳でのG1制覇は今でも史上最年長。驚異のタフネスぶりで成し遂げた3連覇は、今でも日本競馬界の記録とファンの記憶に刻まれている。

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