◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 森保ジャパンが日本時間1日に、サッカーの母国イングランドから歴史的勝利を挙げた。体を張ったFW小川航基(28)の姿に胸が熱くなった。

17年6月から静岡支局に勤務し、当時J1の磐田を担当。東京の取材班に「小川を頼む」と19歳の東京五輪候補を徹底マークするよう頼まれた。ただ、あいさつできたのは3か月以上たってから。着任直前のU―20W杯で左膝の大けがを負ったためだ。

 以降、苦難を近くで見てきた。実戦復帰した18年には「右膝と左膝は全く別物。走った後、左右の感触が違う」と吐露。同じ東京五輪世代のMF堂安律やDF冨安健洋の活躍を繰り返し聞かれ、「もどかしい。あいつらができるなら自分も…」と唇をかんでいた。

 小川は東京五輪代表落選を味わった21年オフ、J2の横浜FCに新天地を求めた。縁あって同クラブ担当になった。ネット上には期待より批判が並んだ。

「見返したい」。24歳になっていたFWの決意に満ちた顔が忘れられない。

 悔しさを糧に、22年にJ2得点王でチームを昇格させた。「やっとスタートラインに立った。反骨心を忘れずいつか代表に入って、東京世代の仲間とやりたい」とも明かしていた。

 23年7月、オランダ1部NECに移籍。その直前、大相撲担当になった。報告も兼ねて小川と会った。「お互い頑張りましょう」と力をもらった。欧州で結果を出し、日本代表の常連になった。大相撲では担当する横綱・大の里のスピード出世が注目された。どん底を味わった小川は、その逆。

6月のW杯メンバーに選ばれたら聞いてみたい。「回り道から得た一番の宝物は何ですか?」(大相撲担当・山田 豊)

 ◆山田 豊(やまだ・ゆたか) 09年入社。小川と同じ横浜出身。

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