◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 全国の書店員が最も売りたい本に贈る第23回「本屋大賞」の受賞作発表会見を9日に取材した。

 今年で22年目を迎え、1次投票に全国490店の新刊書店員698人が参加。

2次投票には345店、470人が参加し「最も売りたい本」10冊を選んだ上でベスト3を推薦理由とともに投票する形式の文学賞。今回、1次投票からトップを快走して大賞に選ばれたのが現在、50万部突破のベストセラーになっている朝井リョウさんの「イン・ザ・メガチャーチ」(日経BP 日本経済新聞出版)だった。

 壇上で笑顔を振りまく36歳のイケメン作家に「活字業界が苦戦する中、どの書店でも平積みになっているのは、どんな気分ですか」と問いかけてみた。

 「自分のコントロール外にある情報が広がっていってくれたっていう感覚。私が何か、こういうふうに考えたからうまくいったということではなくて、いろんなものが合わさって広がっていったのかな」と真剣な表情で答えた朝井さん。

 若き人気作家ですら「全然、コントロールできない」と漏らした大ヒットを生み出したのは、全国の書店員の「この本を読者に届けたい」という情熱だったと、私は思う。

 出版界の衰えぬ熱さを感じながら帰路に就くと、最寄り駅の大型書店には「本屋大賞ノミネート」の帯を一夜にして「本屋大賞1位」につけ替えた「イン・ザ・メガチャーチ」が「一体、何冊あるの?」と思うほど平積みされていた。そこにあったのは「魅力的な本を売りたい」という本屋さんたちの情熱だった。(デジタル担当・中村 健吾)

 ◆中村 健吾(なかむら・けんご)1988年入社。サッカー担当、映画担当などを経て、50歳からデジタル編集部で“何でも書く”日々。

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