「ルパン三世」シリーズの音楽の生みの親で、映画「犬神家の一族」の音楽などで知られる作曲家でジャズピアニストの大野雄二(おおの・ゆうじ)さんが4日午前6時8分、老衰のため死去した。スポーツ報知では、2022年にモンキー・パンチさん原作の「ルパン三世」がアニメ化50周年を迎えた際、アニメの2ndシリーズ(1977~80年)から40年以上にわたって音楽を手がけた大野さんへのインタビューを実施。

ルパンミュージックへのこだわり、制作秘話を再掲する。

 高校野球のブラスバンドの応援曲として知られ、誰もが一度は耳にしたことのある「ルパン三世のテーマ」。テレビアニメは1971年に1stシリーズ(~72年)が始まり、大野さんは77年の2ndシリーズから音楽を担当。45年たった今もなお色あせない名曲だ。

 「こだわりをひと言で言えばメロディー。『最先端』より、アレンジが変わっても古くさくならない骨太な曲を目指したんだ」

 多くの人から末永く親しまれる曲を―。そこには大野氏の緻密(ちみつ)な計算が隠されていた。「最先端だと飽きられるのが早いから。『その時の一番新しい音!』として作っても、いずれ飽きられ、いち早く古い感じにも見られてしまう。だからチマチマとは作りませんでした。最先端じゃないけど、古くもないメロディー。あんばいが非常に難しいけど、それがうまくいったかな」

 インストゥルメンタルにしたのは制作サイドのリクエストだった。

当時36歳と脂の乗った頃、「見たくない人は見なくてもいい、みたいな思いきりはあったね」と回顧。「アニメーションというと、どうしても子供を意識して作らなければいけない。ルパンに関しては大人も楽しめる内容だから、インストでガチッとしたものを、と思ったんだ。小学3、4年が背伸びしなきゃいけないぐらいにね」

 第27話から第51話までは、ピート・マック・ジュニア(藤原喜久男)が「真っ赤な薔薇(バラ)は~」と歌う歌詞付きバージョンが使用された。「これはね、レコード会社がお金をもうけようとしたから(笑い)。ルパンがこんなにヒットすると思っていなかったんだよ。レコードを発売するにあたり、インパクトを出すために詞をつけることになったんだ」

 一般から歌詞を公募。鴇田(ときた)一枝さんの歌詞を原案に、作詞家の千家和也氏が詞をつけた。「当てはまる歌詞が見つからなくて、結局はプロが作り直したんだけど、お客さんに注目してもらえたわけで。ムーブメントを作ることが大事だったわけです」

 2021年放送の日本テレビ系アニメ「ルパン三世 PART6」(土曜・深夜0時55分)のメインテーマ「THEME FROM LUPIN 3 2021」まで40年以上、さまざまなアレンジを施し“進化”してきた。21年版では「ジャズ×ロック」のハードボイルドなアレンジに変貌(へんぼう)を遂げた。「オープニングの時間はずっと変わっていない。

尺は1ミリもいじれないんだよ。がんじがらめの中、楽器を変えるしかない。もうネタ切れです(笑い)。毎回、苦労は絶えないけど、いい音にしたい。それだけだね」

 半世紀近くを共に歩んできた大野さんにとって、ルパンは「生活の一部」にまでなった。「水とか空気のようなもの。ルパンはいつもそばにいる。今は他の仕事はほぼやっていないから、ルパン三世の専属作家って感覚かな。僕のやってきた音楽のスタイルが、ルパンの中でやってもそのまま当てはまる。一種の天職だなと思います」

 ルパンミュージックに携わったのは、70年代に「おひかえあそばせ」「パパと呼ばないで」などの石立鉄男主演の日本テレビ系ドラマシリーズ、同局系「火曜日の女」シリーズの音楽を務めた縁から。ルパンと同じプロデューサーだったため、指名されたものだった。

 「プロデューサーがね、僕を全面的に信頼してくれていた」と大野氏。

石立作品は「モダン」、「火曜日の女」は「女性」という縛りがある中で「主演の女優さん、物語に合う楽器はないか」とイメージを膨らませた。制作陣の無理難題にも全て応えたという。

 「すごい時は最終話までいっぺんに録(と)ってしまう。選曲家(=音楽監督)がメニューを出して、それに僕が意見して。話ができていなくても(結末まで)想像して、ため録りをしていた。ビデオがない時代でしょ。記憶を頼りに(事前に見せてもらった)映像を思い出しながら書いていたよ」

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