歌舞伎俳優の中村時蔵が3日、東京・歌舞伎座で初日を迎えた「六月大歌舞伎」(25日千秋楽)の昼の部「祇園祭礼信仰記 金閣寺」で将監息女雪姫を演じた。

 雪姫は「本朝廿四孝」の八重垣姫、「鎌倉三代記」の時姫と並ぶ女形の大役「三姫」の一つ。

時蔵は4月に八重垣姫を演じて「三姫」を制覇。雪姫は、これまで大阪松竹座と博多座で勤めているが、歌舞伎座では初めて。品格と色気を感じさせる雪姫を演じた。

 桜が咲き誇る金閣寺。慶寿院尼(中村錦之助)を幽閉し立て籠もるのは、天下を狙う「国崩し」の松永大膳(中村獅童)。弟の鬼藤太(中村種之助)と碁を打つ大膳へ奉公を望む此下東吉(中村隼人)が大膳の家臣・十河軍平(中村歌昇)に案内されて登場。一方、雪姫(時蔵)は父の仇(かたき)の大膳によって桜の木に縄でしばられてしまう。

 夫・狩野之介直信(中村米吉)と別れ、嘆き悲しむ雪姫が、降りしきる桜の花びらを集めて爪先で鼠(ねずみ)の絵を描くと、信じられないことが起きる。「爪先鼠」の場面は、歌舞伎の様式美にあふれる本作最大の見どころ。時蔵演じる雪姫の一挙手一投足に観客の視線が集中。魂の入った鼠が雪姫の危難を救うと、客席は拍手に包まれた。

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