◆JERAセ・リーグ ヤクルト1―3巨人(16日・神宮)

 巨人が笹原操希(みさき)外野手(22)の一振りで2連勝し、ヤクルト戦で今季初のカード勝ち越しを決めた。同点の7回、右翼ポール際に決勝2ラン。

5回の一塁でのけん制死を、プロ1号以来9戦ぶりの一発で帳消しにした。先発のブライアン・マタ投手(27)は、6四死球を与えながらも6回途中1失点。来日初白星はお預けとなったが試合を作った。首位・阪神との1差をキープし、17日から中日、広島との東京D6連戦に臨む。

 乾いた打球音が神宮に響いた。「うわ、入るかな?」。笹原が祈るように見つめた白球は真っ暗な夜空に放物線を描き、右翼ポール際に吸い込まれた。「うわ、入った!」。一塁を回って右手を突き上げた。決勝の2ランに静まり返った敵地のダイヤモンドを、ゆっくりと駆け抜けた。

 1―1の7回2死一塁。3番手・丸山翔の初球、高めのスプリットを振り抜いた。

5日の中日戦(バンテリンD)で1―0の決勝弾となるプロ初本塁打を放って以来の2号2ランは、またも逆方向。6月に支配下に再昇格したばかりの男が再び大仕事をやってのけた。橋上監督代行は「非常に内容がいい打撃でしたし、効果的でした」と笑った。

 燃えていた。焦ってもいた。1―1の5回1死から四球で出塁。続く佐々木の打席で1ボールから相手先発・増居が一塁へけん制し頭から戻ろうとしたが、足を滑らせて一塁まで届かなかった。瞬時に左手を伸ばし一塁ベースにタッチしようとしたが、判定はアウト。後続も倒れ、勝ち越すことができなかった。「なんとかしないとやばいなと。必死でした。最高の結果になりました」。

バットでミスを帳消しにした。

 右打ちを得意としていた師匠の言葉がいつも励みになっている。昨季引退した長野久義・編成本部参与からは野球に対する姿勢、打席での考え方…何から何まで教わった。「毎日が思い出ですけど、いただいた手袋で(昨季)1軍で初ヒットを打てたことが一番の思い出です」。引退を聞いた際には寂しさを押し殺しながら「チョーさんを目指して頑張ります」と伝えると「お前は鈴木誠也くらいになれ」と力強い言葉をかけられた。「そこを目指して頑張ります」。オフに育成に戻っても目標は変わらなかった。

 今季初めてヤクルト戦のカード勝ち越しに成功。9連戦で上々のスタートを切った。「チームとしてはめちゃくちゃ大きなことだと思います。明日からは東京ドームで涼しいと思うので明日からもいっぱい来てください」とヒーローはファンに呼びかけた。自身の強みは「全部です!」と言い切った勝負強い22歳が、チームを勢いに乗せていく。

(臼井 恭香)

 ◆高木豊Point 笹原は、初球から打てる準備をしているね。内寄りのボールを無理して引っ張るのではなく、引きつけて体の回転で反対方向へ運んだ。プロ1号もそうだった。このバッティングを2本とも「偶然」ではなく「狙って」打っているのだとしたら本当にたいしたものだ。(スポーツ報知評論家)

 ◆笹原 操希(ささはら・みさき)2004年2月9日、長野市生まれ。22歳。上田西から21年育成ドラフト4位で巨人入団。25年4月に支配下登録され、1軍で13試合20打数2安打。オフに再び育成契約に。憧れの選手は長野久義。趣味はゴルフ。180センチ、86キロ。

右投右打。

編集部おすすめ