◆第108回全国高校野球選手権秋田大会▽決勝 横手7ー1大曲工(21日・こまちスタジアム)

 今春Vの秋田商、同準Vの鹿角、昨秋Vの明桜、金足農がいずれも初戦で敗退するなど、波乱が続出した秋田大会の決勝が21日、こまちスタジアムで行われ、横手が大曲工を下し、1969年以来57年ぶりの甲子園出場をつかんだ。エース右腕・佐藤宙斗(ひろと、3年)が4安打12奪三振で1失点完投。

打線も9安打7得点で援護した。

 57年分の思いがあふれた。最後の打者を三ゴロに仕留めると、土にまみれた横手ナインがマウンドに駆け寄った。エース・佐藤宙は両手を大きく広げ、仲間と抱き合った。「甲子園がかかっている中、ここまで味方に助けてくれた分、自分が勝たせなきゃという気持ちだった。本当にもうやりきった」。強豪校が次々に初戦敗退した波乱の秋田を戦い抜いた横手が、2度目の甲子園切符をつかみ取った。

 こんしんの一球だった。6点をリードして迎えた8回2死二、三塁。「0で抑えるには三振しかない」。佐藤宙は力いっぱいの直球を外角低めに投げ込んだ。ミットに快音を残し、この試合11個目の三振を見逃しで奪うと、マウンドで拳を握った。

流れを渡さず、9回4安打1失点、12Kで最後まで投げ切った。今大会5試合で4完投。まさに大黒柱らしい働きだった。

 父からのバトンも受け継いだ。応援席で見守った父・昭大さん(45)はかつての横手のエース。母校で同じ「背番号1」を背負い甲子園を決めた息子に「横手に入った当初は考えられなかったこと。まさか1番を背負えると思ってもなかった。良い指導者、チームメートに恵まれた」と顔をほころばせた。

 力投に相棒も応えた。佐藤宙とバッテリーを組む加藤琉聖(3年)は4打数2安打1盗塁の活躍。「いつも宙斗に助けてもらっているので、自分は打ってかえさないといけないと思っていた」。共闘で夢舞台をつかんだ。

 新たな歴史を作った20人のメンバーは、誇らしげに校歌を歌い上げた。前回出場した69年夏は、三沢・太田幸司のアイドル人気に沸いた大会だったが、横手は1回戦敗退の憂き目に遭っていた。チームの目標は「甲子園で校歌を歌う」こと。佐藤宙は「秋田の代表として恥じない戦いを。なんとしても1勝をつかみたい」。半世紀の思いを乗せた横手の夏は、どこよりも熱くなる。(渋谷 拓人)

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