◆第108回全国高校野球選手権西東京大会▽準々決勝 東海大菅生4―5日大三(21日・神宮)

 西東京では準々決勝2試合が行われ、部内の不祥事で春季大会を辞退し、ノーシードから連覇を狙う日大三が、9回2死から逆転3ランが飛び出す劇勝で4強入りを決めた。

 球場を興奮の渦にたたき込んだ。

昨夏の決勝カードと同じ東海大菅生との一戦。2点を追う9回2死二、三塁。敗退まであと1死の崖っぷちで、打席に入った高道海心(3年)は頼もしかった。「どんな状況でもやることは変わらない。緊張はしなかった」。初球のスライダーをフルスイング。打球は伸び、右翼席に吸い込まれた。起死回生の逆転3ラン。ダイヤモンドを駆け、ベンチでナインに次々に抱きつかれた。

 まさに“会心の一撃”だった。166センチ、63キロと小柄な体格。ランニング弾を除き、サク越えでの本塁打は人生初だという。

「入っちゃったな。まさかまさかです」。8番起用が多かったが、打撃の好調を買われ、今大会2回戦から2番に入る小兵が大仕事をやってのけた。試合前のルーチンは、友人にヒーローインタビューをしてもらうこと。この日は「『ヒットで3番の田中諒につなげましたけど、どうでしたか』と聞かれた」。同僚の想定を上回る活躍で多くの報道陣から取材を受け、「想像以上でした」と喜んだ。

 敗戦ムードが漂っていたベンチも土壇場での逆転に興奮状態。ナインが喜びを爆発させる中、三木有造監督(52)は冷静だった。浮かれるナインに「ここで終わりじゃない。9回裏、守らないといけない。ちょっとはしゃぎすぎ」と引き締めた。それでも試合後には「諦めない、と口で言いますけど、本当に諦めない。

次に行けるのなら100点です」と、戦い抜いたナインをねぎらった。

 2月にSNSの不適切利用で3か月の対外試合禁止処分を受け、春季大会出場を辞退。今夏はノーシードから勝ち進んできた。目指すは、昨夏準Vに終わった甲子園で頂点に立つこと。「自分たちのやるべきことをしっかりやる。一戦必勝でやっていけたら」と拳を握った高道。劇的勝利で弾みをつけた男たちが再び歩み始めた。(今井 隆太郎)

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