◆第62回CBC賞・G3(8月9日、中京競馬場・芝1200メートル、良)

 サマースプリントシリーズ第4戦、第62回CBC賞・G3は9日、中京競馬場の芝1200メートルで行われ、12番人気のフロムダスクが重賞初制覇。デビュー15年目の中井裕二騎手(33)=栗東・フリー=は、36度目の挑戦で初タイトル獲得となった。

 歓喜の瞬間がようやく訪れた。速いペースを刻む逃げ馬の後ろで脚をため、迎えた最終直線。手応え良く加速していくフロムダスクに中井は、全身を使って気合を注入した。「スムーズにいけば、絶対に勝てると信じていました」。右ステッキ1発で前年の覇者インビンシブルパパをかわし去ると、勝負は決まった。2、3着争いを繰り広げる後続との差を2馬身に広げ、重賞初制覇のゴールを駆け抜けた。

 ゴールの後、喜びをかみ締めるように右拳を握った中井。「馬もしんどかったところだと思うので、申し訳ないなと思いながらも、自然と体が動いてしまいました」。検量室前で相棒に繰り返し感謝を伝える姿からも、馬を気遣う優しい人柄がにじみ出ていた。

 デビュー15年目で悲願の初タイトル。レース後に藤懸、松山とがっちり抱擁を交わし、「やっと勝てた!」とうれし涙をこらえきれなかった。「勝たせていただいたときは本当に、喜びは一瞬なんですけど、それ以外の日々はつらくしんどい日々が多くて…」とこれまでを回顧。

重賞は過去35度騎乗し、最高着順は16年にローレルベローチェで挑んだシルクロードSの2着。ようやくつかんだ勲章に「下を見ずに、上だけ向いて努力して良かった」と晴れやかな笑みを浮かべた。

 陣営との絆でつかんだ勝利でもあった。「乗せてくださった藤田オーナー、森厩舎のスタッフさんとはお付き合いが長い。仕上がりを信じて乗りました」とテン乗りでも迷いなくムチを振るった。番頭格の清水助手は「今日はジョッキーの会心の騎乗。もともと持っていた能力がようやく出た」とたたえた。

 33歳の苦労人に最高のプレゼントを贈ったボルトドーロ産駒。状態を見ながら今後のことが決まるが、国際派の森秀厩舎だけに選択肢の幅は広い。夏の尾張で、また新しいドラマが生まれた。(山本 理貴)

 ◆中井 裕二(なかい・ゆうじ)1993年6月25日、京都府出身。33歳。

12年3月に栗東・長浜博之厩舎所属からデビューし、同3日の中京8R(ニシノマナザシ)で初勝利。15年8月からフリーとなる。JRA通算4160戦175勝。167.1センチ、51.0キロ。同期の現役騎手は菱田、長岡、原田。

 ◆フロムダスク 父ボルトドーロ、母フーリッシュコーズ(父ジャイアンツコーズウェイ)。栗東・森秀行厩舎所属の牡6歳。米国・スプリングハウスファームの生産。通算27戦3勝。総獲得賞金は1億752万9000円。重賞初勝利。馬主は藤田晋氏。

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