演出家の宮本亞門さんが23日、東京国際フォーラムで行われた市民公開講座「伝えてみよう 言葉ではじめる前立腺がん治療」に出席した。

 イベントに参加した多くは男性。

「男性がこんな多いの初めてです(笑)。同じように悩んでいる方もいらっしゃるかもしれないので、気楽に話させてください」と明るく自らの経験を語った。

 19年に出演したテレビ番組での健康診断がきっかけで前立腺がんが判明し、すぐに全摘手術。当時を「稽古が始まった時に事務所から電話があって、マネジャーから『今夜来てください』といつも明るい声が真面目だった。行ったら、テレビのスタッフが8人くらい直立不動で笑顔もなしで」と振り返った。

 発覚当初は「がんになったことある父には、伝えなかった。心配かけたくないと思って」と閉じこもることもあったが、支えになったのは愛犬だったという。「ワンちゃんには話しましたね。結論は一切出ませんでしたけど、愛(いと)おしかった。『お前を置いてはいけない』って話したり」。退院時にはマネジャーが病院の前まで愛犬を連れてきてくれ、遠ぼえに涙したという。記者会見で闘病を公言し、経過も発信したことで「ワンちゃんを散歩していると、いろいろな方が(気に掛けて)話しかけてくれました。

小声で」と感謝した。

 現在は「血液検査だけはしているけど、がんは発生していないと言われている。生きることに集中力ができて、むしろ心配されています」と満面の笑み。今後に向けては「利他的に生きたい。人が喜んでいる姿を見ると泣ける。劇場だけが自分の人生じゃない。劇場だけじゃなくて悩んでいる人のところに行きたい。やりたいことが増えてきた」と語った。

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